惑わされるな!精神科によくある“俗語”

あいまいにしない精神科看護
あいまいにしない精神科看護精神科

「フラッシュバックした。」

みなさんは臨床の現場で、患者さんが言う心の状態について、そのまま受け取っていませんか?

この記事では患者さんの発する“俗語”に着目して、根拠に基づいた臨床判断の出来るような解説を行っていきたいと思います。

ちなみに今回の記事は臨床経験に基づく見解が多く、エビデンスに基づいての解説としては十分ではありません。共感しつつ参考にしていただければと思います。

今回は、前・後編の2部構成です!

(前編)

(後編:3月更新予定)

  • “俗語”の例
  • 俗語への対処法

患者さんの発する“俗語”とは

精神科では患者さんの心の状態は患者さんの言葉や態度から受け取らなければいけません。

そこで看護師は患者さんの言葉に注目しがちになりますが、そこには注意が必要です。

患者さんが言う「胸が苦しい」「フラッシュバックした」「さっき解離していた」などの主観的な情報は必ずしもそのまま解釈してはいけません。

これらに対して、患者さんは本来と異なった意味での医療用語を看護師に使用してくることがあり、ここではそれを“俗語(スラング)”と称して表現させていただきます。

※「患者さんが本来の意味と異なる意味で医療用語を用いたものを“俗語”とする」という定義自体が正式なものではないので、あくまでもこのサイト内での表現としてご理解ください※

ちなみに僕の個人的な印象にはなりますが、新人の精神科看護師はこの言葉自体に惑わされます。

中堅の精神科看護師はこの言葉に対する色眼鏡を持っている場合がちらほら見受けられます。

このような俗語に対して、どうして惑わされるのか、どのような例があるのか、どう対処すればいいのか、についてここから説明していきたいと思います。

どうして俗語が厄介なのか

俗語は聞き流すことが必ずしも正解ではなく、聞く姿勢が前提となるため、看護師は正しい判断を求められます。

患者さんの発する俗語に看護師が左右されてしまう理由としては

  1. 精神科では主訴が大きな情報源であるから
  2. 患者が発する俗語は医療用語に準じているから
  3. 精神疾患の一環として使用される場合があるから(心気系の障害の場合は俗語のような発言自体が症状の一環であり、パーソナリティ障害の場合は操作のツールであるから)

という3つがあります。

ここから詳しく説明していきます!

  1. 精神科では主訴が大きな情報源であるから

冒頭でも説明しましたが、精神科では患者さんの心の状態は患者さんの言葉や態度から受け取らなければいけません。

つまり、精神科看護において患者さんが心の状態を伝える手段として、言語的コミュニケーションには大きな意味があります。看護師は患者さんの発言に耳を傾けて情報収集します。この精神科の特性が、諸刃の剣として降りかかるのが俗語なのです。

看護師は患者さんの言葉に注目しがちになります。しかし、俗語に関しては患者の発言を真に受けてはいけません。

このような精神科的な特性から、患者さんの発言が看護師の判断を妨げる理由となるのです。

  1. 患者が発する俗語は医療用語に準じているから

患者さんの発する俗語は、多くが医療用語に準じていることがあります。

冒頭でも紹介した「胸が苦しい」「フラッシュバックした」「さっき解離していた」に関しては、身体症状と精神症状として使用しうる表現で患者さんが言語化してきます。

本当に胸が苦しいなら対応が必要だし、本当に解離していたならそれに合わせた情報収集が必要となります。

このように、患者さんは看護師の対応が必要な形で表現を用いてきます。

鵜呑みにしてはいけないし、対応を怠ってはいけません。

このように、看護師は複雑な状況での判断が必要となります。

  1. 精神疾患の一環として使用される場合があるから(心気系の障害の場合は俗語のような発言自体が症状の一環であり、パーソナリティ障害の場合は操作のツールであるから)

精神科病棟において症状の一環として俗語が現れる場合があります。

心気障害においては、身体的な不調を感じてしまうこと自体が障害の一部とされています。

例えば「胸が苦しい」「自分が醜い気がする、醜形症状が出ている」「過呼吸になってしまいそうです」といった発言は、心気障害において臨床で見られる発言です。

心気障害では、実際に異常がない状態でも何らかの疾患があるような気がしてしまうことが疾患の特性であるので、その真偽の把握と受容が必要になります。

また、境界性パーソナリティ障害の場合、自身への「かまってほしさ」に存在するかの真偽不明の症状を訴える場合があります。

こちらは看護師にとって「面倒くさい」と感じるような陰性感情の原因になりやすいパターンです。

詳細は今後更新する予定ですので、お楽しみに!!!

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看護師S田さん
看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

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