精神科で導入時に要注意な薬剤3選

あいまいにしない精神科看護
あいまいにしない精神科看護精神科

こんにちは!

精神科には様々な作用を持っている抗精神病薬があります。それぞれの薬剤によって特徴や注意点が異なるため、看護師は十分な知識をもって扱うことが必要です。

以前の記事では配薬に注意が必要なお薬を紹介しました。

今回は精神科で新しく導入し始めた時に、特に注意が必要な薬剤3つについてまとめていきたいと思います。

インチュニブ(グアンファシン)

インチュニブは、一般名グアンファシン塩酸塩徐放錠という名称で、AD/HDの治療に用いられる薬剤です。

インチュニブは添付文書の重大な副作用によると

低血圧・徐脈・失神が現れる可能性が高いです。

また、低血圧そのものでの異常だけでなく、ふらつきによる転倒・転落のリスクも上がるため、二次的な事故につながるリスクがあります。

というのも、インチュニブはその薬理学的に、アドレナリンのα2受容体に作用することで全身の血管を拡張する作用があるからです。

実際に添付文書の注意事項に下のような記載があります。

(以下引用)

8.3 高度な血圧低下及び脈拍数減少が認められ、失神に至る場合があるので、本剤の投与開始前及び用量変更の1~2週間後には、血圧及び脈拍数を測定すること。至適用量の決定後にも4週に1回を目途に血圧及び脈拍数を測定すること。また、本剤の投与による脱水に十分注意し、脱水の症状があらわれた場合には、補液等適切な措置を講じること。

(インチュニブ錠1mg/インチュニブ錠3mg 添付文書 より)

つまり、薬剤の導入だけでなく至適用量の決定など、ある程度の長期的な目線で注意が必要となります。医師の方針に合わせて情報を収集しつつ患者さんの安全を守るという看護師ならではの腕の見せ所です!!

定期的な血圧のモニタリングと、排尿後などの動作時の注意喚起など、知識に基づいて患者さんに合わせた看護プランを立案できるようにしていきましょう!

ラモトリギン(ラミクタール)

次に紹介するのはラモトリギンという薬剤です。

ラモトリギンは抗てんかん薬として有名で、双極性障害にも使用される薬剤です。

ラモトリギンの注意事項は、薬疹のリスクが高いことです。

薬疹というのは、薬の内服や注射によって生じる発疹のことです。

ラモトリギンの添付文書にある、重要な基本的注意によると

(以下引用)

1)本剤の投与による発疹は斑状・丘疹状にあらわれることが多く、重篤な皮膚障害の発現率は、本剤投与開始から8週間以内に高く、また、バルプロ酸ナトリウムと併用した場合、あるいは小児において高いことが示されているので、本剤の投与にあたっては十分に注意し、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。

(ラモトリギン錠「トーワ」添付文書 より)

つまり、ラモトリギンの投与は薬疹の発生に関与している可能性が高いのです!

実際に僕の受け持ち患者さんでも薬疹が出た症例はありました。

その時は首元から始まった薬疹はあっという間に広がり、顔もパンパンに腫れあがるほどで、薬剤の中止で経過観察をして数日で発疹自体は落ち着きました。

薬疹の特徴として、軽快する前に直射日光を浴びると色素沈着に繋がってしまうため、患者さんの容姿のためには直射日光を避けてもらうような介入も必要になってきます。

些細な肌荒れや、顔の赤みからいち早く察知して対応することが必要となります。

サインバルタ

最後に紹介するのは一番危険の高いものです。

サインバルタは、うつ病の治療に用いられる薬剤で、一般名がデュロキセチン塩酸塩カプセルというものです。錠形はカプセルで、基本的に朝食後に投与します。

このサインバルタ、沈んだ気分を上げる作用が逆にコントロールできなくなると、自殺をしてしまうリスクがあるのです。

添付文書の効能・効果に関連する注意によると・・・

(以下引用)

5.1 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。

(サインバルタカプセル20mg 添付文書 より)

また重要な基本的注意には下のような表記があります

(以下引用)

8.1 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。なお、うつ病・うつ状態以外で本剤の適応となる疾患においても自殺企図のおそれがあり、さらにうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので、このような患者にも注意深く観察しながら投与すること。

(引用終了)

つまり、24歳以下の患者さんに投与すると自殺リスクが高いことが、添付文書にはっきりと記載されています!!!

本当に注意が必要です。

僕の場合は、サインバルタが導入になった患者さんの院外外出の際には家族に“なるべく目を離さないように”と伝えるようにしています。

ちょっとした外出や日常の声掛けにも、根拠をもった対応が出来るとGoodかと思います!!

まとめ

いかがだったでしょうか!

処方変更の指示に今回紹介した3つの薬剤を見たら、今後ピンとくるかと思います!

今後もこのようなわかりやすいシリーズにしてまとめていきたいと思うので、是非精神科スイッチの他の記事も見てみてください!

それではまた!

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参考資料

インチュニブ錠1mg/インチュニブ錠3mg 添付文書

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179057G1021_1_07/ /21.6.8.閲覧)

ラモトリギン錠「トーワ」添付文書

(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00067309.pdf 21.6.8閲覧)

サインバルタカプセル20mg 添付文書

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179052M1022_2_22/ /21.6.8閲覧)

看護師S田さん
看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

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