論文放浪記 「精神科看護師のやりがい」を論文レビュー

もう一歩先の精神科看護
もう一歩先の精神科看護精神科スイッチ

こんにちは、精神科ナースのS田です。

今回は精神科看護師のやりがいについて論文による研究をベースに解説していきたいと思います。「精神科ならでは!」みたいな内容が集まることに期待しつつ、早速いってみましょう!

いんとろ

精神科の看護師として働いていると、人との関わりがすごく難しいと感じる反面、とても興味深いと感じることがあります。

一般に、患者さんが回復すると看護師やっていて良かった!と感じることが多いですが、精神科では患者さんの回復の過程で看護師の人間としてのコミュニケーションが治療に繋がることからその喜びを実感しやすいのかなぁと感じます。

実際に論文ベースでみなさんのやりがいはどんなものがあるのか、この記事では医中誌Webを使用して論文をゆるっとレビューしていきます。

ほうほう

医中誌Webにてシソーラスブラウザを用いて検索しました。

今回検索したいテーマは精神科看護師のやりがいなので、精神科系と看護師系とやりがい系の3つの領域をorで繋いでからandで絞っています。

また、看護師として従事している方を対象とした内容を見てみたいので学生系は除外できるようにnotで看護師系にくっつけました。

  1. 「精神看護/TH or 精神保健サービス/TH or 精神科病院/TH or 病院精神科/TH」
  2. 「看護師/TH or 看護職-患者関係/TH」not「看護学生/TH or 看護学生-患者関係/TH」
  3. 「志気/TH or 職務満足度/TH or 動機付け/TH」

1 and 2 and 3で検索し、原著論文・本文ありで絞り込み検索しました。

この検索式で得られる結果のうち、「精神科看護師のやりがい」に合致する論文を抽出し、ゆるーーっとレビューしていきます。

いきますよ~~~!

けっか

対象論文となったのは図のようになりました。

ダイアグラム

自動的に生成された説明

このうち、原著論文・本文ありの絞り込みの結果184件の検索結果となりました。

実際にざーーーっと目を通してみると、

「精神科患者さんのモチベーションを上げるような看護師の関わりの事例」

というストレングスモデル系のニュアンスの論文がかなり出てきてしまいました。

おそらく「看護職-患者関係/TH」「動機付け/TH」あたりの検索語であがってきてしまったのかと思います。ミスりました・・・

実際にレビューの意図と合致する論文は40件程度かと思います。

まず、やりがいを感じるには看護師自身が健康であることが前提になります。看護師自身が疲労感に包まれているとやりがいを感じにくくなっていってしまいます。(霜村ら,2018)

看護師のやりがいに関する職務満足度には、職場内の関係のよさ、患者家族との関係の維持、さらに勤務経験の長さが重要な要因になっているそうです。(上野ら,2005)

その研究では組織コミットメントについて調べられていますが、精神科看護師が専門的な介入を積極的に行うかどうかは情動的コミットメントが関連しているという結果もあります。個人的に、この研究で使用されているMayer氏の組織コミットメント尺度は以前出会ったことがあるのでテンションが上がりました(笑)

そして、俗説で言われている「看護の力が大きいからやりがいを感じる」という結果はやはり研究でも見られているようです。(西村ら,2018)

こーさつ

まず概観として、精神科看護師の仕事についてのやりがいを研究すると同時にストレスや困難なことについても触れている内容が多かったです。

というのも、精神科は患者さんとの関わりが治療に大きく関与しているという特徴があり、患者さんとの関わりがやりがいとストレス要因の表裏一体になっているからだと考えられます。。

精神科看護師の醍醐味といえる患者さんとの関わりにおいて、やりがいを見出すと同時にその難しさからストレスを抱いている看護師が多いのかと考えられます。上手くいけば面白いし、なかなか上手くいかないとしんどいという状況が浮かび上がってきています。

精神科の管理職者が考える精神科看護の魅力として実践によって看護者自身の人格的に成長できること(谷口,2020)があることから、精神科では看護者は課題に直面してそれを乗り越えるというプロセスを多く経験していく分野であると言えます。

やりがいは人それぞれですが、ストレスと向き合いながらも試行錯誤することで人として成長できる機会があるのが精神科であると言えます。

ちなみに余談になりますが、S田のやりがいについても紹介します。

僕がやりがいや面白さを感じるのは、“教科書と臨床のギャップ”を感じる時です。

教科書で見かけるような疾患を実際に見ると「お~~!これか!」と感じることが多く、特に眼球上転を初めて生で見たときにはかなりの興奮と感動が印象に残っています。

そして、軽度の抑うつ系の患者さんの症状の収集にも面白さを感じます。

そっとしておけば、そのままそっとされて退院してしまったり増悪してしまうリスクのある軽度の患者さんにアンテナを張って情報を落とさないようにキャッチするのは知識と経験が必要なことで、見つけられたらやりがいを感じる瞬間です。

まとめ

今回はシソーラスを用いて検索したうち、知りたいことの意図と異なる内容の論文がかなり多く出てきてしまいました。同じテーマの文献検討の論文でも、論文の妥当性に差がつくのはこのような要因があると、恥ずかしながらみなさんに知っていただけたらと思います。

やりがいは人それぞれですが、紹介したような視点で研究が行われているんだな~と少しでも読み物として楽しんでいただけたら幸いです。

このように研究として調査されている内容を踏まえて就職や転職活動などに生かしていただければ良いのではないでしょうか・・・

どうなんでしょう・・・・

それではまた他の記事でお会いしましょう!

こちらもおすすめ

【参考書籍・サイト】

霜村健ら:精神科慢性期病棟に勤務する看護師の仕事に関するストレスとやりがい:第38回日本精神科看護学術集会 第15群73席

上野恭子ら:精神科看護師の専門的ケア行動に影響を及ぼす組織コミットメントに関する研究:日本看護科学会誌25巻4号 Page30-38(2005)

西村紗和ら:精神科看護師のやりがい・魅力に関するインタビュー調査 陰性感情の乗り越え方に焦点をあてて;第43回日本精神科看護学術集会第1群2席

谷口光二ら:看護管理者が経験を通して認識している精神科看護の魅力とその伝え方に関する研究;日本看護学会論文集:看護管理(1347-8184)50号 Page19-22(2020.06)

看護師S田さん
看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました