こんにちは、精神科ナースのS田です。
「どうしようもないくらいイライラする」
「なぜかわからないくらい寂しくて一人で過ごすのが嫌だ」
「そわそわして落ち着かないくらい不安な気持ちがある」
こんな感情が沸いてきた時、みなさんはどう対処していますか?
今回は、そんな感情のコントロールの仕方に関するトレーニングを紹介していきます。
この記事では、「こんなトレーニングがあるよ!」までの概要の紹介でいきます!
DBT(弁証法的行動療法)とは?
DBTはDialectical Behavior Therapyの略で、日本語では弁証法的行動療法と呼ばれる精神科的な治療方法です。
「べんしょーほーてきこーどーしょーほー」と言われてもなんなのか全然わかりませんが、要するに自分の感情を乗りこなすトレーニングです。
認知行動療法(CBT)という治療の兄弟みたいなものでマーシャ・リネハンさんが開発したものです。
「圧倒されるような」強い感情と付き合うためのスキルを身に着ける練習なので、精神疾患の方以外にも、イライラしがちな方や今世間で流行っている“繊細さん”にも活用できる内容です。
イメージしやすいためにいくつか例を挙げてみます。
自分の感情を揺さぶるような出来事があった時に
- 自分の注意をそらす練習
- 嗅覚、視覚、聴覚、味覚、触覚を用いて自分自身を落ち着かせる練習
- 一旦距離を置く練習
がDBTに含まれています。
テキストに書かれている具体例では、思考から注意をそらすリストに
心地よかった,楽しかった,あるいはわくわくした過去の出来事を思い出す。 これらの幸せな思い出についてできる限り詳細を思い出すようにしてください。 何をしたのですか? あなたと一緒にいたのは誰ですか? どんなことがあったのですか? |
このような内容が多く書かれています。
僕が実践トレーニングブックを読んだ感想としては「爆発しないための小ワザ集」という印象でした。そして難しいことは何もなく、誰にでも実践できる内容だと感じました。
DBTは実際に治療として行う場合はいくつかの環境設定と約半年間の治療期間の設定が必要になりますが、この記事を読んでいるみなさんが治療対象なわけではないので、今回はDBTを知っておくことのメリットと、DBTを構成する4つのスキルについて紹介します。
DBTを知っておくことのメリット
DBTは、自分の感情が大きく膨れてきた時にコントロールするための練習です。
- 心底腹が立つ爆発寸前のとき(爆発をギリギリで踏みとどまるための練習なので、寸前です)
- 立ち直れないほど悲しいとき(大切な存在を失ったとき、失恋したとき)
などは、普通に生活していて遭遇する場面です。
しかし、何とか乗り越えて平常を取り戻さなければいけないこともあります。
特に家族のことや仕事中などは、逃げようのない環境なので向き合ってコントロールしていかなければなりません。
DBTを学習することで、自分自身のライフイベントへの向き合い方や、身近で爆発しそうな人への援助などに役立ちます。
そのため精神科の看護師は一通り学習しておくべきと言える内容です。
●DBTの4つのスキルのなかみ
DBTは大きく分けて4つのスキルの習得から成り立っています。

4つのスキルというのは下のようなものです。
- 苦悩耐性スキル:出来事を価値判断したり自分自身を否定することなく受け入れ、対処行動をとるスル
- マインドフルネス・スキル:今この瞬間の自分自身に焦点を当てて集中することで感情を増幅させずに“賢明な心”を見出すスキル
- 感情調節スキル:感情を認識した上で健康的な対処行動をとり、感情を曝露しつつ問題を解決するスキル
- 対人関係スキル:自分も相手も尊重したアサーティブなコミュニケーション
この4つを訓練することで、自分自身の感情をコントロールするのです。
1つ1つを具体的に丁寧に説明していたらかなりの量になってしまうので、今後1つずつ別の記事にして紹介します(笑)
まとめ
生きていれば遭遇するストレスを対処していくためのスキルを学ぶDBT。
この記事を通して少しでも興味をもっていただけたらと思います。
具体的な内容については1つの記事では収まりきらないので、いくつかに分けて今後投稿していきたいと思っています!
(もしかしたらこの記事に追記でつっこむかもしれません・・・)
興味を持った方は是非トレーニングブックを手に入れて、ご自身でワーク学習をしてみてください!
それではまた!
【参考書籍・サイト】
弁証法的行動療法 実践トレーニングブック
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