患者さんへの感情移入”逆転移”とは

あいまいにしない精神科看護

逆転移とは

逆転移とは、看護師が患者さんに対して好意や嫌悪などの感情を抱くことを指します。

詳細のメカニズムについては、フロイトの提唱した“転移”と同様であるとされています。

看護師も1人の人間なので、患者さんに「好き・嫌い」や「得意・不得意」という感情を抱くのはとても自然なことだと思います。

しかし看護師という職業柄、患者さんに対する自分の気持ちと上手に付き合って業務をしなければいけません。

看護師は医療を提供する側、患者は医療を受ける側という立場に基づいて関わることが必要となります。

逆転移の実際の例

逆転移の例について端的に紹介すると、下のようになります。

プラスの逆転移の例

  • 患者さんに思い入れをもつ
  • 患者さんを異性として好む

マイナスの逆転移の例

  • 患者さんに苦手意識をもつ
  • 特定の患者さんへの嫌悪感がある

臨床でよく見かけるのは、患者さんの精神症状の対象になってしまった後に、その患者さんに対して抵抗を感じるというものです。

僕自身も患者さんに怒鳴られたらしばらくは関わりたくないなぁと思いますし、患者さんに異性としてアプロ―チされたら苦手意識を持ちます。

逆転移のメリットとデメリット

逆転移は患者さんに感情移入してしまうことなので、悪いイメージばかりが先行してしまいがちですが、実はメリットもあります。

プラスの逆転移のメリット

  • 患者さんに親身になれる
  • 患者さんへの関わりをストレスに感じない

プラスの逆転移のデメリット

  • 患者さんの症状が悪化すると自分も辛くなる
  • 患者さんのために頑張りたいという思いが強すぎて空回りしてしまう

マイナスの逆転移のメリット

  • 患者さんと距離を取ることで自分の身を守る

マイナスの逆転移のデメリット

  • 態度や口調に出てしまう
  • 関わるだけでストレスに感じる

態度や口調に出てしまうとうのは看護師としてのプロ意識に欠けてしまう重大な欠点です。

僕自身も苦手な気持ちを持っていても極力出さないようにしていますが、先輩に「めっちゃわかりやすいよ」と言われることもあります。

自分で意識して気を付けていても、周囲の人から見るとわかりやすく変化に出ている場合もあります。

日頃から相談しやすい先輩や後輩と、お互いにチェック出来る関係を作れるとGoodです!!

逆転移の対処法

逆転移について、感情そのものを無にするなどの対処は現実的ではありません。

ではどうすればいいか、最大の攻略法は

自分の気持ちを知ることです。

アサーションというコミュニケーションスキルでとても重視されていることですが、相手への感情や接し方を整えるために、まずは「自分がその人のことをどう思っているのか」をきちんと整理して把握することが重要です。

みなさんが自分自身の精神を守るために防衛行動として意識してしまう場合もあるので、頭ごなしに否定するのではなく、患者さんへのマイナスな感情と上手に付き合っていくことが大切になります。

マイナスな感情そのものを否定して押し殺すのではなく、マイナスな感情を職場スタッフに吐き出して気持ちを軽くする工夫や、相手に伝えないように立ち振舞う努力を検討してみてください!

まとめ

“看護師は感情労働”と言われることがありますが、自分自身の感情も大切にしながら働いていくことがワークライフバランスを保つ上で必要となります。

逆転移やアサーションについては今後も記事として紹介していくので、是非他の記事もご覧ください!

それではまた!

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看護師S田さん
看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

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