リフィーディング症候群とは?看護師向けに解説!

前回はICUにおける栄養管理について説明しました。

今回はその栄養管理ととっても関連のある〈リフィーディング症候群〉について説明します。

リフィーディングとは再栄養を意味します。

ICUでは、絶飲食管理の患者さんや、まともに食事を取る事の出来ていなかった患者さんが多いため、食事再開の際は、このリフィーディング症候群に関する知識が必要不可欠となります。ぜひ以下の情報を役立ててください。

※以下は様々な参考書、勉強会資料、看護師向けサイトより私が情報をまとめたものです。そのため、あくまで参考程度にご覧ください。誤情報がある場合はコメント頂けると幸いです。

疫学的解説

リフィーディング症候群の最大のポイントは低リン血症

病態は複雑であり、体液量やNa、糖、蛋白、脂肪、チアミン(B1)、K(低K)、Mg(低Mg)にも問題が及ぶ。頻度は明らかになっていない。

低リン血症のある症例にリン補充のない治療を行った場合は本症が100%発症するという報告がある。同報告によるとリン補充を行った場合の発症率は18%に低下する。

リフィーディング症候群のメカニズム

飢餓に陥ると、エナジーサイクルは、糖から貯蔵された脂肪や蛋白主体へ変化し、全体の代謝率は20~25%低下する。

飢餓が長期に及ぶと、代謝の主体は脂肪に移る=主要なエネルギー器質がケトン体に。同時に、飢餓が進むと主要なミネラルが枯渇する。

リン酸塩は主に細胞内から血清に動員され、また尿排泄が低下することから血清濃度がある程度一定に保たれるが、トータルでは枯渇している。

この状況でリフィーディング(再栄養)が行われると、糖の負荷がインスリン分泌を増加させ、インスリンは、グルカゴンを抑制しつつグリコーゲンや脂肪、蛋白の代謝を促進する。

ここにおいてリンやマグネシウムなどのミネラルやチアミン(B1)も大量に動員される。インスリンはカリウムを細胞内に移動させる。マグネシウムやリンも細胞内に移動する。この結果、リンやマグネシウムやカリウムの血清濃度が低下する

リフィーディング症候群の本態は、これらエネルギー器質の変化とそれに伴う電解質やミネラルの移動。

リンは細胞内の主要なミネラルで、細胞内の化学反応や細胞自体の構成成分として重要。

さらに多くの酵素やセカンドメッセンジャーはリンと結合して活性化する。


リンはATPの一部としてエネルギー貯蔵に関係する。またヘモグロビンが酸素と結合する際にリンが必要であり、よってリンは組織酸素代謝に大きな役目を果たす

腎における酸塩基平衡にもリンが重要な役目を果たす。

リフィーディング症候群では、

慢性のリン欠乏+追い打ちをかけるようにインスリンサージによるリンの細胞内導入

➡細胞内でリン消費が進行。

これらの変化が細胞内外でのリンの絶対的枯渇を促進する。このような状況では、血清リン濃度ほんの小さな低下でも多大な細胞機能障害が発生し、生体のほとんどすべての生理システムに重い影響を受ける。

リフィーディング症候群に関係する要素

カリウム

リンと同じように飢餓状態で枯渇しているが、細胞内からある程度細胞外に動員されて血清濃度はある程度保たれている。ここにリフィーディングによるインスリン活性が亢進すると、血清カリウム濃度は著明に低下し、不整脈や心停止の原因となる。

マグネシウム

酸化的リン酸化反応など生体の多くの酵素反応の補助因子として重要である。

DNA、RNA、リボゾームなどの構成要素としても重要である。リフィーディング症候群ではマグネシウムもリンやカリウム同様に移動し消費される。これにより心筋障害(不整脈)や神経筋合併症をきたす。

血糖値

飢餓後の急な糖摂取は、インスリン活性を亢進させ糖新生を抑制する。過剰な糖の投与は高血糖をきたすこともあるが、逆に、インスリンの過剰分泌による低血糖発作を来たすこともある。

この場合、糖を投与すればするほど血糖値が下がるという、パラドキシカルな臨床症状を呈することがある

ビタミンB1

糖代謝の重要なコエンザイムである。ビタミンB1が枯渇すると、ウェルニッケ症候群(眼性異常、運動失調、錯乱状態、低体温、昏睡)またはコルサコフ症候群(逆行性健忘、作話症)などが発症する。

急な炭水化物の投与はインスリンの分泌を亢進させ、インスリンは、腎におけるNaや水の分泌を抑制する。

よって、尿量は低下し、体液の過剰を引き起こす。尿量を指標に通常の輸液調節を行った場合、過剰輸液に気付かないことがある。これにより心不全や肺水腫をきたすことがある。

       

リフィーディング症候群の予防・治療

栄養投与を開始前、開始後のリン、Na、カリウム、マグネシウム、糖の厳重モニタリング。

ガイドライン

ハイリスク患者の選定

下記基準が1つ以上

  • BMIが16未満
  • 過去3~6か月で15%以上の意図しない体重減少
  • 10日間の絶飲食
  • 再摂取前の低K血症、低P血症、低Mg血症

下記基準が2つ以上

  • BMIが18.5未満
  • 過去3~6か月で10%以上の意図しない体重減少
  • 5日間以上の絶飲食
  • アルコール依存症の既往
  • 次の薬剤の使用歴:インスリン、化学療法、制酸薬、利尿薬

ハイリスク患者では、最大でも10kcal/kg/24時間の栄養投与から始め漸増させていく。4~7日かければ予定の全投与量が達成できる。P、Mgは栄養で入るため、B1は別で入れる。

非常に栄養状態が不良な患者(BMI<14あるいは2週間以上の飢餓状態)の場合、最大でも 5kcal/kg/24時間
の栄養投与で開始し、循環モニタリングも密に行う。

栄養を開始する前に電解質を整える必要はなく、栄養投与と同時に調整を開始すればよい。これは前回のガイドラインからの変更点である。栄養投与をさらに遅らせることが無いように、このように改定された。

電解質やミネラルの投与量については十分な研究がなされていない。

集中治療期間は15~30mmol/3時間のリン酸を投与してとくに問題なかった、という研究結果がある。

一般病棟では腎機能障害のない患者に1日50mmolのリン酸を投与してとくに問題がなかった報告あり。

まとめ

いかがでしたか?毎日採血データ推移のモニタリングを行う中で、ぜひリンやマグネシウムなどの電解質推移も確認してみてください。リフィーディング症候群を起こしてしまうと致死的であるため、日ごろからリンの補充を行うことが重要です。栄養管理の記事と合わせて、ぜひご覧ください!

こちらもおすすめ

Follow me!

コメントを残す