呼吸器管理中の注意ポイント4選

ICU

こんにちは。Namiです。

前回挿管時の看護について紹介しました。みなさん見ていただけましたでしょうか?

今回は呼吸器管理中の管理ポイント4選をご紹介します。

呼吸器管理中は呼吸状態の観察はもちろん大切ですが、他にも注意ポイントが沢山あるんです!!4点に厳選してご紹介しますので、ぜひご覧ください。

VAP予防のための管理

挿管中は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を引き起こす可能性があります。

原因としては、以下が挙げられます。

・上気道の感染と逆流した胃内容物の誤嚥(胃カテが入っていると発生率が上昇するのはこのため)

原因としては以下3点があります。

①経口摂取していないため唾液の分泌が抑制され自浄作用が低下する

→日々口腔ケアを行うことでVAP予防を図ります。またカフ上部の分泌物が垂れ込まないように口腔内・鼻腔・カフ上部吸引を行い、気道浄化を図ります。

➁消化管潰瘍予防のPPIなどの投与や、早期の経腸栄養によって胃液がアルカリ化し、消化管で繁殖した細菌がチューブを伝って口腔内へ移動する

→不要なチューブ類は早期に抜去出来るよう日々評価を行います。

➂経鼻胃管の場合、副鼻腔炎を合併しやすい

・汚染した回路や回路開放に伴う細菌の吸入

回路汚染の原因としては以下2点があります。

①加温加湿器の水を除去する際の不潔操作

→清潔無菌操作前のためしっかりと手指消毒を行いましょう。

➁気管吸引や回路交換などで回路を開放した際の回路内の細菌汚染

→開放吸引を行う時はしっかりと手指消毒した後、スタンダードプリコーションと滅菌手袋を使用しましょう。

また、なるべく閉鎖式回路を使用しましょう。

予防管理として、VAPバンドルというものがあります。

①手指衛生

すべての院内感染から医療従事者及び患者を護るための基本的な手段です。

人の手を媒介した病原菌の水平伝播が、VAPを始めとする病院内感染の一要素となりえるため、確実な手指衛生が必要です。

➁人工呼吸器回路を頻回に交換しない

人工呼吸器回路を開放させると、回路内腔を通じた下気道汚染の危険性が高まるため、頻回な回路交換は控える必要があります。

➂適切な鎮静・鎮痛管理を行う

過鎮静は人工呼吸期間延長の原因となりVAPの発生頻度が増す原因となります。そのためRASSを使用し適切な鎮静深度を保つ必要があります。

➃人工呼吸からの離脱ができるかどうか、毎日評価する

気管挿管はVAPのリスクであるため、挿管期間を短縮するために、人工呼吸器からの離脱の手順を定めて定期的に評価し、自発呼吸トライアル(SBT)を用いて1日1階離脱を可能性を検討していきます。

⑤30度程度の頭部挙上を行う

仰臥位で患者を管理すると、胃内容物が口腔咽頭に逆流し、VAPの発生率が増加します。そのためベッドの頭位を上げる体位を取りVAP発生率を低下させるようにします。

栄養管理

侵襲期におけるたんぱく異化亢進により呼吸筋が徐々に減少しているため早期栄養状態改善が大切になります。24~48時間以内の経腸栄養開始が望ましいです。バクテリアルトランスロケーションの予防も兼ねて栄養を開始します。

排泄管理

・挿管管理が開始すると、鎮痛鎮静薬を持続投与し始め、安静度は最初床上安静となります。そのため、鎮痛鎮静剤の副作用や床上安静による不動から腸管蠕動運動が低下します。毎日排便回数を観察し、排便がない場合はパントテン酸製剤や下剤使用を検討する必要があります。排便が得られている場合でも性状を確認し、軟便であれば、栄養剤変更や整腸剤投与を検討していく必要あります。

・胃内容物の排出遅延から嘔吐や便秘を招く可能性があります。栄養投与中は必ず胃残量を確認しましょう。

・下痢の原因:高浸透圧経腸栄養剤の投与速度が高い、抗菌薬による腸内細菌叢の変化、CDトキシン関連下痢症、腸炎、腸虚血などが考えられます。原因を元に対応策を検討しましょう。

体位交換による肺理学療法

・腹臥位療法 

ARDSなどの患者に対し有効であることが示されています。最近ではコロナ患者にもよく腹臥位療法を行います。背面を開放することで換気血流比の不均衡が是正され、酸素化が改善する可能性があります。

禁忌として、脊損、循環不安定、不整脈、骨折、頭蓋内圧亢進、大量出血、胸腹部術後、外傷、ドレーン管理中の気胸などがあるので注意してください。

・シムス位

腹臥位療法と同様に換気血流比を是正する効果があります。デバイス類が多い場合は下敷きにならないよう注意し実施する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか?簡単に4点の管理ポイントをご紹介させて頂きました。

挿管管理中は呼吸状態だけでなく、全身状態を管理する必要があります。

挿管中ならではの注意点が数多くあるので、挿管患者を受け持つことが多いICU看護師は必ず押さえておきたい知識ですね!

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namiさん
namiさん

京都大学卒業後、とある大学病院のICUでコロナに追われて奮闘中。
臨床と研究をつなぐ人材を目指して、エビデンスに基づいた情報提供を心掛け、今後は大学院進学を視野に入れて日々学習しています。
元同級生のS田に声をかけられ、一緒にNurswitchに記事を投稿することに。
(S田によると、才色兼備の素敵な同期とのこと)

参考・引用文献

VAP(人工呼吸器関連肺炎)は、どうして起こるの? | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com)

人工呼吸器関連肺炎予防バンドル2010改訂版,日本集中治療医学会

2010VAP.pdf (jsicm.org)

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