本日はICUにおける〈栄養管理〉についてご紹介します。
急性期こそ栄養管理って大切なんです。どうして?と思った方、ぜひ読んでみてください。
いかに早期栄養開始が重要かを理解していただけると思います。
長編であるため、何部かに分けて説明します。
※以下は様々な参考書、勉強会資料、看護師向けサイトより私が情報をまとめたものです。そのため、あくまで参考程度にご覧ください。誤情報がある場合はコメント頂けると幸いです。
重症患者の栄養動態
①侵襲下の代謝変化
・侵襲の種類を問わず、共通したエネルギー基質動態を示す。
侵襲によるサイトカインなどの炎症性メディエーターの放出やカテコラミン、グルカゴン、コルチゾールなどのストレスホルモンの誘導により、異化亢進(複雑なものを簡単な化合物に分解しエネルギーを生みだすこと)の状態となり、内因性エネルギーの産生と消費が増加する。
・侵襲直後
ホルモン分泌
循環維持のため内分泌系刺激→視床下部から抗利尿ホルモン(ADH)
レニンアンジオテンシン系のアルドステロンの作用
→これらにより体液水分量維持
高血糖:免疫細胞の活性低下による感染リスク、創傷治癒遅延、浸透圧利尿に伴う循環血液量低下やAKI、
高浸透圧高血糖昏睡などを引き起こす。目標140~180㎎/dLで管理。
(1)異化亢進によるもの
・侵襲時にはグリコーゲン分解によりグルコース生産
(絶飲食では12~24時間で枯渇)
・コルチゾール、グルカゴン、アドレナリンなどによる糖新生
・筋蛋白(分解によりアミノ酸遊離→エネルギー基質、体構成成分、創傷治癒、Alb/TP
生成、糖新生に使用)、脂肪(脂肪酸を放出しエネルギー産生、脂肪酸とグリセロー
ルに分解されTCAサイクルにより肝臓で糖新生)などの分解による糖新生
(2)耐糖能低下によるもの
・サイトカイン分泌によるインスリン分泌抑制
②栄養障害と生体への影響:筋蛋白量を反映する除脂肪体重(LBM)の30%減少は窒素死に至る
・生体は内因性エネルギーと外因性エネルギーの供給と消費により生命維持
・侵襲時には基礎代謝が亢進し必要エネルギーが増大、供給が不足する
→内因性エネルギー産生のために筋蛋白分解などの糖新生を行い異化亢進状態に。外因性エネルギーは侵襲時に投与しても活用されず、供給不足
→負のエネルギーバランスになる
・異化亢進は筋の崩壊により生じ、重症患者では1kg/日以上の筋肉量が減少する
→臥床による筋力低下と相まって、二次性サイコペルニア(骨格筋量・筋肉量が減少する症候群)リスク↑
→回復期のリハビリテーション遅延に
・異化亢進による内臓TP・ALBの減少
→凝固因子(プロトロンビン、フィブリノーゲン)合成減少による凝固機能障害、
抗体TP(ガンマグロブリン)やTリンパ球減少による免疫低下
線維芽細胞増殖因子減少→創傷治癒遅延
Alb減少による膠質浸透圧低下→浮腫・胸腹水貯留
③急性期の栄養管理
傷害期:原疾患治療と代謝管理が主体。外因性エネルギー補給ではなく、侵襲によって生じる水分・電解質の不均衡を是正し血糖管理を行う。通常2,3日間。
転換期:異常な代謝状態を脱した後は、代謝管理から栄養管理へ移行する。
適正なエネルギー投与量を算出し漸増。
転換期への移行の一つの目安は尿量。利尿期が来ているかで判断出来る。
回復期:代謝が正常化していれば栄養管理が中心となる。
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