こんにちは、精神科ナースのS田です!
「Nur-switch」では、精神科をはじめとした役立つ情報を日々配信しています。
さて、毎年多くの看護学生の頭を悩ませる看護学実習。
本当にキツい日々なので、少しでも楽に乗り越えたいですよね。
この記事では、精神科の実習を迎える看護学生に向けて、実習目標の立て方や現役看護師的にはここを見て欲しいというポイントを紹介していきたいと思います。
どんな書き方をすれば指導看護師に伝わるか、自分でも行動に移しやすい目標になるか、僕の実際の経験を交えながら解説していきます!
精神科実習を乗り切る目標と行動計画の立て方
実習期間中、あるいはその前後でかなり学生を追い込むのが課題です。
特に目標設定や毎日の振り返り記録、行動計画等は家に帰ってからも夜まで悩んで取り組んでいる方が多いのではないでしょうか。
ここでは実習目標と行動計画の立て方について紹介していきます。

①実習目標で意識すること
そもそも精神科看護実習って何をするの?
と思うかもしれませんね。
精神科の実習では精神科病棟で看護師の一日の仕事の流れを見つつ、患者さんと関わるのが大まかな流れになります。
精神科の患者さんは見えない物が見えたり、物事を理解するのが難しかったり、
つまり、みなさんと同じものを見ていても見える世界が違うことがあるということが起こります。
とても面白いですよね。
精神科実習では、そんな方々の一面とそこに関わる看護師の姿勢を見て学んでいただければ十分です。
そこで実習目標の立て方については「〇〇な看護を展開する」や「患者さんの個別性に合わせた看護を検討する」という大きな内容ではなくて大丈夫です。
”何かを提供すること”ではなく、”きちんと知ろうとすること”が重要になります。
現場で働く看護師でも、患者さんに広がっている世界を把握して対応することはとても難しいですし、それが看護師の重要なスキルに直結している内容です。
なので、「何かをする」を目標にするのではなく、「知る」ことを意識して目標を考えてみてください。
具体的な目標の設定は指導教員ごとに差はあるので、少しずつ調整してみてください!
参考に出来る資料としては、系統看護学講座の『精神科看護の展開』というテキストを持っている方なら第8章を呼んでから実習に臨んでみて欲しいと思います!
②行動計画を書く目的は?
行動計画を書く目的は、スケジュールの共有と根拠を持った看護展開のためです。
業務的な意味で、実習では学生が「どこで何をしているのか」を指導教員も病院も把握しておきたいので、きちんとタイムスケジュールとして提出することが必要になります。
また、行動計画計画の添削をされる時には教員に「どうしてこれをやるの?」という質問を投げられることが多々あるかと思いますが、根拠や理由を持って患者さんに向き合うという思考過程は看護師にとって本当に大切なことのなので、そのトレーニングという意味が強いです。
行動計画にはそんな目的があるんだなぁ。という程度でも知っておくと書くときに気持ちが楽になりますね。
③行動計画の書き方のコツ3選
ここからは、実際に行動計画を書く時のコツを、書く順番に解説していきます。
実際の例も交えながら説明していきますので、しっかりついてきてくださいね!
1.時間が決まっている予定を記入する
まず大事なのは、決まった予定を先に埋めることです。
例えばカンファレンスなどの会議の予定、患者さんの理学療法や作業療法などの時間が決まったプログラム、教員との振り返りの時間設定等です。
これらは学生個人の希望や意向で変更が出来ないので、まず最初に記入することで1日の全体の枠組みを作っていきましょう!
2.患者さんと会わない時間を作る
次に大事なのは、患者さんと会わない時間を作ることです。
これがかなり難しいです。
実習に行っていると、限られた実習時間の中で出来そうなことを詰め込んでしまいがちです。
しかし、常にべったりと誰かに見られていると疲れてしまうものです。
みなさんも独りのプライベートな時間が必要ですよね??
入院している患者さんにもその時間は必要です。
なので、自分の行動計画を作る時には患者さんの活動の計画も含めて考えていき、読書が好きな患者さんなら普段読書をしている時間はこちらはナースステーションでの情報収集の時間にするなどの配慮が出来るととても良いかと思います。
3.ゆとりをもって記入する
最後に大事なのは、ゆとりをもって記入することです。
行動計画はタイムスケジュールなので全ての時間を強引に埋めなければいけないと思われがちですが、全部の予定が時間通りにいくことはほとんどありません。
午前中なら「前日からの情報収集」午後なら「記録を書く」なんかで理由をつけて融通の効く時間を確保することも、実習を乗り切るために必要な裏ワザかもしれませんね!
みなさんも、行動目標を書くときにはこれらの点に意識して記入してみてください!
現役精神科ナースの教える”ここ注目”のポイント

実習では様々な出来事を目撃することがあります。
僕が学生時代に実習に行ったときには、看護師が頭からジュースをかけられたり、同期の女の子は認知症患者さんに怒鳴られたりしていて、本当に多くの衝撃を目にしました。
日々のスケジュールに追われ、課題に追われ、新鮮な現場を目の前にするとどうしてもそれらに目が生きがちになってしまいます。
しかし、僕が見てみて欲しいポイントは「その入院が患者さんにとってどんな意味を持つのか」ということです。
というのも、精神科では積極的な治療介入以外にも
- 「ちょっと自宅や世間から離れてひと休みしよう」という休息目的の患者さん
- 慢性的に精神疾患を持っていたがADLを立て直すための補助的な目的で入院する患者さん
- 自宅で家族が薬を管理していたが、家族の体調不良で本人の世話を出来ないからその間入院して薬を管理する目的の患者さん
というように、コテコテに治療する以外の目的で入院している方もいるからです。
(病院の種類にもよるし、あまりこのような患者さんは学生が受け持つ優先度は低めですが・・・)
とはいえ、人生の経過の中で今どのような状態にあり、今回の入院はどのような役割を持つのかという視点を持ってみると、看護師の目線に少し近づける上にレポート課題やまとめ発表にも役立つかと思います!!!
精神科実習に行く前に学生さんに知っておいて欲しいこと

精神科に限らず他の実習でも何度も言われることかもしれませんが、患者さんは自分の治療のために入院しています。「治療費を払って入院している患者さんに関わらせていただく」という感謝と敬意をもって接することが前提になります。
そして、少しビビらせてしまう内容ではありますが、
精神科においては「知らない人が病院に来る」という出来事そのものが刺激になってしまい、調子を崩してしまう患者さんもいます。
実習に行くみなさんが悪いというワケではありませんが、一歩間違えると患者さんの症状を悪化させてしまうのです。
どの患者さんにも気軽に関わろうとするのではなく、きちんと実習担当の看護師に確認しながら対応するように心がけて欲しいです。
まとめ
看護実習は学生にとって乗り越えるべきイベントの一つです。
現役精神科ナースとして、この記事で少しでも役に立てればと思います。
他にも看護学生向けの記事を用意しているので、是非そっちも見ていってください!
それではまた!
【参考書籍・サイト】
系統看護学講座 専門分野Ⅱ 精神看護学2 精神看護の展開 第6版
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