依存症治療用のボドゲ“ARASHI”が無料で面白すぎる件

精神科

精神科領域は人と人とのコミュニケーションが重要な分野です。

治療の一貫として、遊びながら関われるカードゲームがあったら面白いですよね。

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と思っていたら、見つけました!!

先日僕が行った認知療法・認知行動療法学会の講演で出会うことが出来たので、開発者の長先生の許可をいただいた上で今回は紹介していきたいと思います。

それでは早速いきましょう!

「ARASHI」(アラーシー)とは

今回紹介するカードゲームの名前は”ARASHI”です。

あのジャニーズのグループではありません、読み方はアラーシーです(笑)

カードゲーム型依存症治療ツール(Addiction Relapse prevention by Amusement-like Skill-up tool for Help-seeking Innovation)の頭文字をとって名付けられています。

ルールはシンプルで、「場面カード」で与えられた状況をアイテムカードを使って上手く切り抜けるものになります。

「こんな場面に遭遇!手元のアイテムはこれ!それを使ってどうやって切り抜ける?」

というゲームです。

簡単に切り抜けられるものもあれば、理由を強引にこじつけて説明していくものもあります(笑)

いわゆるボドゲのような仕上がりで、キャット&チョコレートの依存症治療バージョンと言えばわかる人にはわかるのではないでしょうか。

なんといっても、無料配布でこのクオリティは凄すぎると感動しています!!!

厚生労働省の研究の一環で作成されているので、「おそらく実際の依存症患者さんに対して聞き取りをして再現したのかなぁ」と、質的研究の風味がします(笑)

ちなみにキャット&チョコレートは下のようなボードゲームです。

実際にやってみた

公式HPや三重県HPから無料PDFでカードが配布されているため、早速ダウンロードしてきました!

PDFはこちら

取扱説明書はこちら

取扱説明書やプレイ例も配布されているので、合わせて目を通してみてください!

今回は実際にプリントアウトして、切ってカードにしたものを実践していきたいと思います。

対戦はもちろん現役精神科ナースのS田と、医療関係者ではないVin-menの2人です。

切り方が雑なんよ・・・

ここから、リアルな感想と、珍プレーを紹介してみたいと思います。

アルコール編、”家族とケンカした!”場面+”100万円”&”自動車”

「一旦車で出かけて、100万円で美味しいもの食べる。車で出かければお酒飲まないし。」

まぁたしかに。

根本的な解決にはならないけれど、まず一旦場面を切り替えるというのはアンガーマネジメントの点でも効果はありそうです。

僕ら2人とも自動車の免許は持っていませんけど!!!

アルコール編、”コンビニのレジ横にやすくなったお酒がある”場面+”500円玉”&”スペシャルアイテム”

”スペシャルアイテム”は何か好きなアイテム1つに置き換えることが出来るというカードです。

僕が選んだのは”100万円”

「まあ、100万円持ってたらわざわざコンビニで安いもの選ばないし、一旦コンビニは出るやろ」

という形で一次的にレジ横のお酒を回避しました!!

「どうせもっと良いお酒飲みに行くんやろ」というVinmanの一言でノックアウト!!!

ストレス編、”上司のムチャぶり”+”100万円”&”水”

「一旦100万円を眺めて水でも飲んだら、自分は大丈夫だって余裕が出来るよね」

おそらく眺めている時は満面のにやにやだろうなぁ~と思いながら解決!

気づきがいっぱい

ふとした日常も、依存症患者さんにとってはきっかけになる

場面カードを見てみると、依存症患者さんがアルコールや薬物をやりたくなる場面が書かれています。

その中には、一般的には想定しにくい状況なのにも関わらず「依存症の人はこの状況でもまた薬物を使いたくなるのか!」と驚くカードもありました!!

薬物編”外国産ミネラルウォーター”の場面カードなんかは、薬物使用をしていない我々にはなんのトリガーなのかすら本当に想像がつきません。

ストレス編の場面カードには、些細なきっかけもあり、人によって事実の捉え方に色々な差があることを実感しました。

100万円があると落ち着く

世の中お金です。

と言わんばかりに、100万円があれば心が安定する状況が作れました。

ちなみに、ストレスがかかる状況でも、「100万円を眺める」という行動で自分に余裕を作れるのではないかという話が何度かあがりました(笑)

自分にとって万能アイテムがあると落ち着く

野球部出身のVin-menはどの状況でもボールがあれば「一旦野球する」という選択が出来ました。

自分が弱いシチュエーションに対応できるものを携帯する、というのは日常生活においても必勝法になるかもしれません。

ちなみに僕は、職場の給湯室にある冷蔵庫にピノを忍ばせています。

本当に気持ちの限界が近い時は、一口サイズのピノを食べて気持ちを切り替えるようにしています。

みなさんにとってのおたすけアイテムは何がありますか??

「その場面での持っている手札は運次第。人生もね。」By Vinman

このゲームでは、出会った場面を対処するにはアイテムカードの運も重要でした。

そして限られた選択肢を使いこなして状況を打開しなければいけません。

人生の場面においても、ある状況になったときに自分が使える手札は限られています。

その使い方も人それぞれ。

今回はかなり深い気づきもあったようです。

まとめ

今回紹介したカードゲームは、依存症治療用となっていますが、一般の方にも楽しんでもらえる内容になっていました。

みなさんも是非一度は見てみてプレイしてみてください!

最後に、今回実際にやってみた時の衝撃の1コマ

「いやVin-men実物用意するんかい!!!」

~つづく~

Nur-switchでは他にも役立つ資格や知識について紹介しています。

是非ご覧ください!

最後まで読んでくださってありがとうございます!

それではまた!

【参考文献】

ハートランドしぎさん 部門紹介 臨床教育センター(最終閲覧22.11.13)

ハートランドホスピタルグループ
心のケア、豊かな生涯づくりをめざす、一般財団法人ハートランドホスピタルグループ

三重県HP  その他(学会発表・研修)(最終閲覧22.11.13)

三重県|こころの医療センター:その他(学会発表・研修)
三重県庁の公式ホームページです。報道発表資料や更新情報、県政スケジュールなど県民の皆さんにお知らせしたい情報を掲載しています。

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看護師S田さん

エビデンス中毒、いわゆる「エビ厨」を自称する京大出身の生意気な看護師。
「根拠に基づく看護(EBN)」の普及のためにNur-switchを設立し、論文レビュー記事から雑記ブログまで幅広く執筆。
臨床に立ちながら精力的に記事を更新中!

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