現在精神科で働いていて、今後も精神科看護師としてキャリアを積んでいきたい方に向けて、この記事では精神科としてステップアップしていく上で役立つ資格を紹介していきたいと思います。
専門看護師
専門看護師(CNS)は日本看護協会の定める基準によって卓越した看護実践能力があると認められた看護師に与えられる資格です。
全13分野のうちの1つが「精神看護」となっています。
この精神看護の専門看護師は、現在の国内の精神科看護師のキャリアの中で最も高い位置にあるといえます。
取得までの流れは日本看護協会HPによると下のような内容です。
2番目の枠にあるように、
指定された大学院を卒業しなければなりません!!!
2021年現在で、精神科看護の専門看護教育を実施している期間は36大学です。
学費は大学によって異なりますが京都大学のような国立大学では年間約54万円、慶応義塾大学のような私立大学では年間約170万円とのことで、費用面でも労力でも取得にコストがかかります。
このように専門看護師は高いハードルがあることから、精神科のキャリアの中では
臨床のみならず大学院で研究に関する学習も行い、卒業した後に試験を受けることが求められるのです。
認定看護師
精神科の認定看護師で、注意すべきなのが
日本看護協会の “認定看護師”とは別の資格です。
精神科の認定看護師は、日本精神科看護協会の定める資格となります。
日本精神科看護協会によると(以下引用)
精神科認定看護師とは、精神科認定看護師教育課程を修了した上で本制度における認定審査に合格し、精神科の看護領域において優れた看護能力、知識を有すると認められた者をいい、以下の役割を果たします。
1.すぐれた看護実践能力を用いて、質の高い精神科看護を実践すること。
2.精神科看護に関する相談に応じること。
3.精神科看護に関する指導を行うこと。
4.精神科看護に関する知識の発展に貢献すること。
(日本精神科看護協会HP)
また、認定看護師資格を所有していることで
・精神科リエゾンチーム加算
・認知症ケア加算
の診療報酬加算を得ることが出来ます。
(精神科認定看護師制度ガイドブック令和3年改訂版P118)
ちなみに公式マークはこちら
そんな精神科認定看護師の資格を得るために必要な教育課程は、日本精神科看護協会の作成したカリキュラムによって実施されます。
全ての講習を受けるための費用は約100万円ほどです。
現在は新型コロナウイルスの影響でオンライン講習を導入しているので、気になる方は是非公式ページより確認してみてください。
精神科看護資格
CVPPPトレーナー
CVPPP(包括的暴力防止プログラム)に関する資格は日本こころの安全とケア学会が定めている2種類で、CVPPPトレーナーとCVPPPインストラクターがあります。
2つの説明は公式サイトより引用して紹介します。(以下引用)
CVPPPトレーナー(以下トレーナー)とは、日本こころの安全とケア学会が認定したCVPPPトレーナー養成研修の4日間の全課程を修了し、学会による認定を受けた方のことを指します。(全課程を1研修内で終了できなかった場合は、別の機会で新たに不足科目を受講し、かつ学会が認めることにより認定されます。)
トレーナーは自施設での研修を開催し、CVPPPの普及を行うことが可能です。トレーナーはCVPPPの責務に関する規定を遵守しなければなりません。
CVPPPインストラクター(以下インストラクター)とは、日本こころの安全とケア学会の基準に基づき、審査に合格し、インストラクターの認定を受けた方のことを指します。
インストラクター審査の基準は以下のとおりです。(2018/08/01)
- 日本こころの安全とケア学会認定する学術雑誌などに基準を満たす内容で論文その他の著作を学会が規定する期間内に発表したことがあること。または日本こころの安全とケア学会学術集会で演題発表をし、その内容がインストラクターの資格としてふさわしいと学会が認めていること。
- 日本こころの安全とケア学会が認定するインストラクター研修を受講し、インストラクターの能力があると認められていること。
1および2の基準のすべてを満たし、インストラクター申請書を提出の上、日本こころの安全とケア学会認定委員会の審査に合格した方をインストラクターとして認定します。
インストラクターは、自施設のみならず他施設の研修生も受け入れて、トレーナー研修を開催し、CVPPPの普及を行うことが可能です。インストラクターは別に規定するインストラクター細則を遵守しなければなりません。
インストラクターの有効期間は5年間です。有効期間を経過してから3ヶ月以内に新たに更新の手続きをすることが必要です。
(日本こころの安全とケア学会HPより)
いずれも、看護師を対象にしてCVPPPに関する正しい知識と技術の普及のための資格といえます。
インストラクターはトレーナーの上位資格と捉えられるため、取得を目指すならまずはトレーナーからになるかと思います!
(S田の病院にもトレーナー資格者は数人いて、定期的に院内研修を実施しています。)
日本精神科病院協会と日本精神科医学会が主催している資格
日本精神科病院協会と日本精神科医学会が主催している資格には、STANDARDコース・SENIORコース・LEADERSHIPコースがあり、それらを取得することで
・精神療養病棟入院料
・認知症治療病棟入院料2
の診療報酬加算の対象となる資格を得ることが出来ます。
そしてSENIORコース・LEADERSHIPコースの2つを修了すると日本精神科職種認定制度による「日本精神科医学会認定看護師」「日本精神科医学会認知症認定看護師」の資格申請が可能となります。
また、別途追加の研修を受ければ“日本精神科医学会精神科医療安全士”の申請も可能です。(日本精神科病院協会HPより)
これらは病院という組織の中でスペシャリティを持つキャリアにはとても良いかもしれません!
民間の検定資格
精神科に関わる民間の資格については下のようなものがあります。
- こころ検定
- 心理学検定
- ケアストレスカウンセラー
これらに関する紹介は、次の記事でまとめていきたいと思います!
そして、今後精神科ナースS田がこれらの民間資格に挑戦する実況ブログも「スイッチオフ」で取り組んでいきたいと考えています!!!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
精神科看護は、他科のような手技の向上や治療技術の革新が実感しにくいという性質があるので、このような資格を目安にしてキャリア構築をしていくのはオススメかと思います。
僕自身もこのような資格を目指して今後実践していきたいと思います。
それではまた!
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参照
日本看護協会HP https://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cns (2021.5.13閲覧)
日本精神科看護協会HP http://www.jpna.jp/education/certified-nurse.html (2021.5.13閲覧)
精神科認定看護師制度ガイドブック令和3年改訂版P118
日本こころの安全とケア学会HP https://www.jascmh.com/meeting (2021.5.13閲覧)
日本精神科病院協会HP https://www.nisseikyo.or.jp/education/tsuushin/ (2021.5.13閲覧)
コメント
[…] キャリアアップの重要なステップの一つは、追加資格の取得です。特に、専門看護師(CNS)は、精神看護分野で最も高い位置にある資格とされています。この資格を取得するには、指定された大学院を卒業する必要があります。 […]