こんにちは、Nur-switchのS田です。
精神科は患者さんからの暴力が危ないし恐いですよね。
今回は危険なイメージの実態に迫るべく、精神科での患者さんからの暴力について体験談も含めてお伝えしたいと思います!
えげつない内容になっているかもしれません(笑)
それではいきましょう!
精神科で起きる患者さんからの暴力
精神科って暴力はあるの?
残念ながら答えは「YES」です。
変にオブラートに包まずに言いますが、怖いし、痛いです。
とはいえ、看護師は黙って殴られるわけではありませんし、殴り合いをして対抗するものでもありません。
じゃあどんな風に対処しているのか。
この記事では僕が一方的にされた暴力の体験談を紹介しつつ、看護師はどのようなことを学んで暴力を対処しているのかを紹介していきます。
患者さんからの暴力の体験談と対応
みなさんが一番気になっていたのはここからではないでしょうか。
S田が実際にされた身体的な暴力について紹介してみたいと思います。
襲いかかられて胸ぐらをつかまれた

新規の患者さんが入院してくる際に、
「ぎゃぁあああああああ!!!」
と、叫びながら突然僕の方に向かってきて、距離を詰められ、胸ぐらを掴まれました。
しかも、違法薬物の使用疑惑(?)から時間が経っておらず、本当に自我のない錯乱状態で襲いかかって来たので本当にびっくりしました。
幸いベテランの先輩が近くにいたので2人で対応し、応援も呼んでレボトミンの筋肉注射をして、拘束での経過観察となりました。
頭からコーヒーをかけられた

これはつい最近のことですが、頭からコーヒーをかけられました。
患者さんに薬を渡そうとして近づいて、僕が手元の薬に視線を落とした瞬間の出来事です。
「お前気持ち悪いんだよ!!!」と怒鳴られながら、コップ一杯分のコーヒーを突然かけられました。
頭からかぶるコーヒーで気分は最悪です。
不意打ちだったので僕も瞬時に避けきれず、全身びっしょりでした。
患者さんの感情はそれでひと段落したようで、僕はひしひしとこみ上げる怒りを落ち着けながら、水で薬を飲んでもらい、退室しました。
身体的な抑制をかけるとか、一切考えられないほど頭が真っ白になり、自分のアンガーマネジメントでいっぱいいっぱいになりながら出てきたのを覚えています。
ここからわかるように、屈強な男性看護師であったとしても暴力の対象になりうるし、不意に手を出されれば回避出来ないこともあります。
こんなことが起きないために暴力について学び、対象方法を身につけることが重要です。
精神科での暴力の定義は?

そもそも暴力の定義については、下のようになります。
暴力は「危害を加える要素をもった行動(これには当然,言語的なもの,自己への攻撃も含まれる)で,容認できないと判断される,すべての脅威を与える行為」をしている。つまりこの定義では,暴力を身体的なものにとどめず,すべての行為を含み,有害なものであり,なおかつ,そこには規範,あるいは受け止め側の認知の仕方による判断も加えられるものである,ということになる。
(『最新CVPPPトレーニングマニュアル』P34)
つまり、広い意味で考えると「殴る」「蹴る」以外にも、言葉の暴力(いわゆる暴言)や自分への暴力(自傷行為)も含まれることになります。
と言いつつ、正直なところ“言葉の暴力”は挙げたらキリがないほど日常的に浴びていますので、今回扱っているテーマは身体的な暴力のみをピックアップしています(笑)
そして「暴力」と「攻撃」という似ている言葉でも、厳密には別の定義があり、看護記録を書くときなどには注意が必要になります。
こんな風に掘り下げていくと沼ですね(笑)
ということで、精神科で暴力について扱う上での“良い意味での”沼の1つをご紹介します(笑)
患者さんからの暴力を予防し、対応する技術
精神科では、暴力に備えるための「患者さん自身と看護師を守るための医学的な護身術」のような技術があります。
「しーぶいとりぷるぴー」という名前で、「しーぶい」と略されたりします。
正式名称はCVPPP(Comprehensive Violence Prevention and Protection Program)といい、日本語では「包括的暴力防止プログラム」です。
名前だけ聞くと難しそうですよね(笑)
要するに、
- 患者さんを暴力に発展させないようにリスクを管理しつつ怒りをなだめる対応
- 暴力があった時に複数人で連携して身体の安全を守りながら患者さんを抑制する方法
- 暴力のあとの振り返りを行う手順
これらが体系的にまとめられたのがCVPPPです。
(イメージしやすいようにざっくり紹介しましたが、本編は5種類の要素に分けられています)
「患者さんに腕を掴まれた時の対応方法」や
「患者さんに後ろから掴まれた時の対応方法」など、具体的な場面に合わせた対処の方法を実践形式で練習する内容になっています。
おそらくどの病院でもCVPPPトレーナーという資格を持った人が定期的に研修をしているのではないでしょうか。
具体的な中身についてはまた別の記事で紹介しますが、精神科では知識と技術に基づいた対応でお互いに守りあえる体制を作ることが重要です。
まとめ
精神科では、患者さんの精神症状や感情コントロール不良によって暴力に出会う場合があります。
そのためにも患者さんのことを知り、自分のスキルを身につけ、スタッフ同士で連携の取れる環境を作ることが大切になります。
Nur-switchでは他にも役立つ資格や知識について紹介しています。
是非ご覧ください!
最後まで読んでくださってありがとうございます!
それではまた!
【参考文献】

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