今回は市民図書館で勉強している時に手に取ったテキストである『行為障害と非行のことがわかる本』についてレビューしていきます!
出版が2011年と少し古い情報にはなりますが、図解で視覚的に理解しやすい内容であったので学習資料という意味で記事として紹介させていただきます!
この本は「非行」に関する理解と家族の対応方法について解説しているで、反抗期や非行の子どもへの教育に悩んでいる親御さんや教育に携わる方、それを医療機関で受け止める精神科スタッフにも知っておいて欲しい内容になっています。
「非行」の生まれる理由や原因がよくわかる、本の構成
このテキストは暴力や窃盗、性的逸脱があるいわゆる“非行”と呼ばれる子どもをテーマにした書籍です。
- 第1章 困った行動には意味がある
- 第2章 行為障害の背景にあるもの
- 第3章 発達障害と行為障害の関係
- 第4章 適切な支援の進め方
- 第5章 立ち直りを支える
というチャプター構成で書かれています。
まずは第1章で目に見える現象としての「非行」を理解するために事例を用いながら、非行として起きている事実への解釈の仕方を紹介しています。
子どもの行動に注目するだけでなく、その行動の意味に焦点を当てるコツが具体的に書かれています。
第2章では、行為障害の背景にあるものというテーマで、非行の生まれる理由や原因に着目して事例が紹介されていました。第1章で書かれていたような非行について、その行動に至った理由を考える必要性が書かれています。
第3章では特に発達障害を取り上げて、行為障害との関連を挙げています。発達障害の方が非行に走るパターンと対応について詳しく取り上げられています。
第4章では支援のための考え方と具体的な関わり方が書かれており、第5章では少年院や保護観察といった非行を犯してしまった人への立ち直りに関する支援を紹介しています。
おそらくこの本を手に取る方が気になる内容は第1章、第2章、第4章で書かれている
非行の現象を理解して、理由や意図について考え、支援していく
という趣旨がメインの内容になってくるのではないかと思います。
また、この本のタイトルにもある行為障害という表現についてはテキスト内で丁寧に解説されていました。非行については成長ともに行動が定着し、内容もエスカレートしうることから
- 反抗挑戦性障害(問題児)
- 行為障害(非行少年)
- 反社会性パーソナリティ障害(犯罪者)
という3段階に分けて整理し、行為障害までの範疇であれば教育によって改善の余地があると言われています。
日々の関わりを持つ家族や教員の対応次第で改善できるかもしれないと言われると、一旦きちんと学習してみたくなりますよね(笑)
我が子の非行を認められない「保護者の否認」
ここからは、S田が考えを深めたポイントを紹介します。
「子どもがかかえる問題に気づけない大人たち」というトピックで扱われていた内容で、子どもが抱える問題に気付けない要因についていくつか紹介されていました。
その1つに保護者の否認があります。
どういうことかというと、保護者が子どもの問題点を「問題点として認めない」ことによって見過ごされてしまうという内容です。
典型的なのが「うちの子に限ってそんなことするはずがない」という思考です。
子どもの問題行動について親が認める=親の子育てが良くないと思われてしまう
という偏ったイメージから、子どもの非行を認めたがらないケースは実際によくあります。
実際に問題行動を起こしてしまっているのなら、今までの育て方や親としてのプライドは置いておいて、子どもの現状と今後改善する点を中心に考えていければ良いのに・・・
と子育て経験のない僕は思ったりします。
本書で紹介されている通り、疾患としての発達障害やADHD、アスペルガー症候群を持っている場合は、子育てが一筋縄ではいかなくなるため簡単に改善できるとは限りません。
行為障害の患者さんにしたい声かけ、してはいけない声かけ
今回この本を読んで、「今までの自分の対応は間違っていたのではないかな、これからはこんな風に気を付けていこう」と学んだところがあったので、紹介していきます。
それが「禁を犯した子どもへの対応」というトピックで扱われていた内容です。
非行において“超えてはならないライン”を超えてしまった場合に行う対応方法について書かれています。倫理的、社会的に踏み越えてはいけないラインを超える内容についてです。
精神科の臨床では、窃盗癖(クレプトマニア)の患者さんや行為障害の患者さんなど、逸脱行動のある患者さんには実際に注意を伴う声掛けをする場面があります。
ほんわかした優しい女性ナースは「も~、ダメよ!」と笑顔交じりで声をかけたりしますが、発達に遅れのある患者さんにとっては注意されているという認識は一切持てません。
そんな時に僕が臨床で使うのが「今から注意します」と言ってから話を始めることです。
強い口調で怒鳴る話し方(非言語的)ではなく、落ち着いた口調で“注意”であることを言語的に伝えるのです。
そのような場面で相手に伝える内容として本書に書かれていたのが「してはいけないことだ」と、事実のみを伝えることです。
そしてやってはいけないこととして、
- 「どうしてしたのか」を聞くこと(弁解の余地があると勘違いするため)
- 長々と説教すること(反発心を生むため)
- 悪い事だとわかってもらえてよかった、と伝えること(許してもらえたと勘違いするため)
の3つは気を付けるようにと挙げられていました。
僕は「いけないってわかっているところまでは出来ているのだから、これからは気を付けてみようね」と声をかける場面があり、前半部に肯定的表現を含んでしまっています。
このさじ加減がとても難しいのではないかと感じました。
これから試行錯誤しつつ、より良い声掛けを探していきたいと思います。
(みなさんがどうしているのか是非コメントでお待ちしています!)
根拠を追及しながら精神科看護を行っていると、声かけの1つ1つにも明確な意図をもって気遣いが出来るようになっていくのだと実感する悩みです(笑)
まとめ
いかがでしょうか。
余談ですが、この本を読んで、『ケーキの切れない非行少年』を思い出しました。
Nur-switchではまだレビューしていませんが、とても近しいマインドを感じました。
あの本に本音でレビューすると色々波風が立ちそうで保留にしていたのが本音ですが・・・・
とはいえ、子育てにおいて避けて通れないのが問題行動です。
いけないことをしてしまった時の対応や、いけないことを辞められない子への教育など、参考になるところは多々ありました!
他にも様々な書籍についてレビューをしているので、もしよければご覧ください!!
それではまた!
【参考文献】

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