A.まずは今のあなた自身で、接してみましょう。
精神科の病棟では、実際に「人格がたくさんいる」という障害として入院している方もいらっしゃるので、僕も関わったことがあります。
そして、実際に対面で患者さんたちと関わるのと、SNS上でこのように相談を通して接するのとでは、大きな違いがあるのではないかと思います。
そんな時、僕が伝えているメッセージとして、「みんなを紹介する前に、まずはあなた自身が関わっていくことを大切にしてみましょう」というものがあります。
解離性人格障害という種類の診断名を受けたりして、自分の中に人格がいっぱい居る人方の中には、自己紹介やプロフィール欄で、「自分の中にはこんな人がいます」「主人格は~~で、他にも~~~がいます」と発信していらっしゃる方もいます。
「はじめまして」の自己紹介で、みんなを一斉に紹介してくださる方もいます。
その情報は、周りの人にとって心の準備ができるし、助かるものではありますが、実は中に誰が居ようと、どんな人がこの後出てこようと、それは1回置いといて、接してる人たちが知りたいのはあなた自身のことなのではないでしょうか。
それはもちろん、”みんな”を含めて、あなたという1人の人なのかもしれません。
しかし、周りの方は、あなたの中に他に誰がいたとしても、そんなことよりあなた自身のことを知りたいし、自己紹介の時点で「他にこんな人がいるよ」と知るにはまだ早いのです。
つまり、上手くコミュニケーションを取れないと悩んでいる方には、自分が知らせたいことと、周りの知りたいことにタイムラグが生まれてるのではないでしょうか。
例えるなら、カップルとか恋人のことを考えてみましょう。彼氏が職場でどんなビジネスメールを送っているか、部下にどんな風に指導していて、上司に怒られてどんな風に謝っているか、興味がある方も居るかもしれませんが、それは関係がそれなりに進んでからです。
まずは好きな食べ物、どんな趣味があるのか、そんな話しから、関係は始まっていきます。
いっぺんに全ては、見せなくてもいいのです。
他の人格が出た時に、人に迷惑かけてしまうのではないか、失礼なこと言ってしまうのではないかと、不安になったり心配になる気持ちはとても理解できます。
人柄がわかっていれば、突然失礼なことを言ったり、会話の文体が変わったりしても相手は「え?どうしたんかな?」と心配になる程度です。突然「なんだよこいつ!」とはなりにくいのではないでしょうか。
今のあなた自身が、きちんと今の人格の自分で人と接することが出来れば、それ以外のところが出てきた時に、周りの方は「いつもとなにか違う?」って思ってくれるので、いつもと違う?と思ってもらえるような “ありのままの自分”を見せることが、遠回りのようで近道なのではないでしょうか。
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