「わが家の母はビョーキです2」読んでみた。

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前回レビューさせていただいた「わが家母はビョーキです」の続編である「わが家の母はビョーキです2」についてのレビュー記事です。

前回記事を読んでいない方はまずそちらをご覧ください

「わが家の母はビョーキです」を読んでみた。

今回もS田のレビューブログです。

ネタバレに関する試行錯誤は相変わらず迷子ですが、今回も「この本を読んだら自分のためになりそうだなぁ」と感じていただけるような記事にしていきたいと思います!

あらすじ

この漫画は「わが家母はビョーキです」の続編として出版されているので、内容も続きからになっています。

主人公が夫と結婚し、統合失調症の母と旦那を含めて3人での共同生活が始まるところから、カミングアウトを経て夫の理解を得て3人で協力して生活していく上での苦悩や葛藤を描いたストーリーとなっています。

主人公の私の視点で描かれているので、統合失調症の母を持つ家族の世界観や配慮すべき点について読者がイメージしやすい内容になっています。

ここから、この漫画を実際に現役精神科看護師のS田の分析を交えて解説していきたいと思います。

精神科看護師のS田的な見どころ

この作品について、特に注目したいポイントを2つ挙げて紹介したいと思います。

それは

  1. 精神疾患のカミングアウトについて
  2. 他者への被害的思考と敵意について

です。

  1. 精神疾患のカミングアウトについて

主人公のユキとお母ちゃんと、配偶者であるタキさんが同居するようになり、共同生活が開始しますが、母の疾患と現病歴についてはまだ詳しくは話していない状態でした。

そんな中での、精神疾患に関する現病歴(包丁を振り回していた過去など)についてのカミングアウトは、母にとってもストレスであるし、自分自身にとっても夫との今後の関係性に関して不安なイベントとなります。

本書ではそのような苦悩を当事者目線で描いています。

看護師にとってはイメージのしにくい“患者目線での疾患の扱い”について想像するきっかけにしていただければと思います。

2.他者への被害的思考と敵意について

ストーリーの中で夫のタキが、統合失調症であるお母ちゃんの被害的思考の対象になる場面があります。

お母ちゃんからすれば、タキが“敵”の存在になっているように感じるのです。

これについて看護師的に言うと

統合失調症に限らず、患者の被害的思考の対象に看護師がなることはあります。

実際に、僕自身も「S田さんに嫌われてている」「S田さんは私には冷たい」などの被害的な思考の対象になることはよく起こります。

このような場合は、患者さんのペースに合わせて認知のズレを修正していくことが必要になります。

患者さんがヒートアップしている時には、こちらからの説明は聞き入れてもらえない場合が多いです。そこで患者さんが“聞く姿勢”を作れた時に話をするのが適切です。

ちなみにこの漫画では実際に形に残る物としてプレゼントを渡したりしていますが、視覚的に残る介入はかなり効果がある場合が多いです。

他にも、パート3-2で出てくるバリアについての図や、全体を通しての母のタキへの取り繕った姿勢など、参考になる事柄が多く盛り込まれています!

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「わが家の母はビョーキです2」は前作に引き続き、精神科の看護師には是非読んでいただきたい内容になっています。

是非見てみてください!

それではまた!

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参考書籍

「わが家の母はビョーキです2」中村ユキ2013第7刷

看護師S田さん
看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

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