先日、4度目の緊急事態宣言が発令されました。1年前の宣言中と比較して人の流れを抑制出来ていない現状であり、不安が募りますよね…。
最近「変異株」を耳にしますが、今までのコロナウイルスと何が違うのでしょうか?続々と増え、次第に従来のウイルスから変異株へ入れ替わると言われている状況ですが、私の勤める病院においても実際に変異株陽性の患者さんは増加傾向にあります。
本日は変異株について現在わかっていることをご紹介します。
変異株って?
ウイルスは絶えず変異を起こします。コロナウイルスも同様です。
ウイルスが人へ感染すると、人の体内で、遺伝物質であるRNAをコピーさせ増幅することで、どんどん増殖していきます。このコピーの過程でミスが起こることで変異株は生まれます。RNAの配列が変わり、ウイルスの蛋白質のアミノ酸が入れかわる=遺伝情報が変化することで、重症化率・感染性増加など、ウイルスの特徴も変わるのです。
変異株の種類
「N501Y」の変異がある変異株
- 従来株よりも感染性が増していることが懸念されている
- 英国、南アフリカ、ブラジルで確認された変異株がこの変異を有する
「E484K」の変異がある変異株
- 従来株よりも免疫やワクチンの効果を低下される可能性が指摘されている
- 南アフリカ、ブラジルで確認された変異株がこの変異を有する
変異株の何がこわいの?
感染状況
関西圏では変異株への置き換わりが増加しています。全年齢層で感染者が増加していますが、特に20~30代の若い世代で増えています(下図)。そのため今後、高齢者への感染波及が進むと重症者数増加につながる可能性が高いです。
また、若い世代での重症化も認めており、若いから大丈夫だと気を緩めることは出来ません。
首都圏では変異株割合が上昇傾向にあり、今後首都圏でも変異株への置き換わりが進むと予想されます。
(第41回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より)
増えている変異株
これまではE484K変異という免疫回避を持つ変異株が多くを占めており、この変異株はワクチン効果の低下や再感染リスクが懸念されていましたが、感染性増加や重症化との関連は指摘されていませんでした。
しかし現在は、イギリス由来のN501Y変異を持つ変異株が国内で検出される増加傾向にあり(下図)、この変異株は感染性が増しており、死亡リスクも1.55倍高くなると言われています。
大阪府の報告によると、
- N501Y変異株陽性者の年齢構成は30代以下が6割弱
- 重症化率は従来株と比べて高い傾向にあり
- 診断から重症化までの日数が短期化の傾向=重症化するスピードが速い
とあり、以上から変異株感染波及は、非常に危機的状況であると考えられます。
(第41回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より)
変異株感染防止のため、私たちに出来ること
変異株が増えたからといって、個人レベルで出来ることは今までと変わりません。
- こまめに手洗いうがい
- 外出を控える
- マスク着用
- 3密の回避
を心掛けてください。何度も緊急事態宣言が発令され、気の緩みが出てくる時期ではありますが、感染対策だけは怠らないようにしましょう。
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【参考文献】
全て2021/4/28閲覧
・第41回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料

・N501Y変異株の急激な増加によって懸念される東京都内の危機的状況とは
・第30回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年4月14日)
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