今回は僕が読んだ本についてのレビューを書いてみたいと思います。
これを読むきっかけになった先輩ナースから投げかけられた質問は
家族に統合失調症の人がいたらその家庭の子どもはどのような環境で生活し、どんな風に育つか想像できる?
というものでした。
みなさんはどんなイメージがありますか?
その場ではディスカッションの出来ない状況でしたが、僕の答えは
「妄想の対象になったり独語を聴いたりと、ストレスのかかる環境です。あと、遺伝的素因があるので本人も発症のリスクが高いです。」
というイメージでした。
そしてその先輩ナースからオススメされたのが「わが家の母はビョーキです」です。
タイトルにあるように、統合失調症の母をもつ娘の目線で描かれたマンガで、医療者以外の一般の人にもわかりやすい解説のついた内容でした。
今回はこの本について内容のネタバレは避けつつ、僕の感想をお伝えできればと思います。
統合失調症の自宅での暮らし
この作品では、母として登場する統合失調症の患者さんの家庭での生活で、自制の出来ない陽性症状について、怠薬について、親戚やご近所さんとの関係、受診時と家庭でのギャップなどの多くの要素が描かれています。
統合失調症の患者さんが地域での生活をする場合、その環境や支援者、地域での理解者の存在が重要なポイントになってきます。
環境が不十分であれば疾患の治療が出来ずに症状の悪化に繋がったり、自傷や他害などのトラブルに繋がるリスクとなります。
この作品のなかでも、家族関係の変化や患者の娘(主人公)の関わりがとても細かく描写されています。
統合失調症の家族の心理
統合失調症の家族関係において、疾患や症状への理解はかなり重要になってきます。
この作品では“私”が幼い頃から防衛的に身に着けてきた対処方法から、疾患について積極的に学習するようになった過程まで、疾患に対する理解の変化が描かれています。
疾患や薬剤について知っているだけで、対応時の知恵として救われることが具体的に示されているので、是非そのような視点でも見てみてください。
また、この作品で僕が一番感じたのが、
娘が母を絶対に見捨てずに関わり続けた
という家族の絆です。
実際に包丁を向けられたり、発作のように暴れたりが続いていて疲弊しながらも悪戦苦闘しつつも一緒に成長していたというのがとても素敵だと感じました。
しかし、実際には必ずしも家族がそのような対応をするとは限りません。
家族の疾患に疲弊したり、暴れる行為に対して怒ったり、時に家族が警察を呼ぶなどのケースがあります。
そのような意味で「家族の関係をアセスメントする上でどのような情報を収集するのか」をイメージさせてくれる内容でした。
まとめ
今回「わが家の母はビョーキです」を読んでみて、“患者さんの退院先としての家族”という視点だけでなく、“患者さんを迎え入れて共に過ごす家族”としての家族の目線をイメージする良いきっかけにさせていただきました。
特に慢性的に自宅での療養を要する精神疾患の患者さんに関して、支援者として寄り添う家族の心境や環境に着目する視点としてイメージを膨らませる機会になるかと思います。
ネタバレを出来る限り抑えながらの感想レビューに初挑戦でしたが、いかがでしたか?
「わが家の母はビョーキです」は続編の2巻もあるので、今後引き続き更新していきます!
是非チェックしてください!
それではまた。
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