ACLSプロバイダーのライセンス取得への険しい道

看護師
看護師

お久しぶりです、精神科ナースのS田です。

更新が少し止まってしまっていましたが、実はACLSプロバイダーの資格取得に向けて勉強&受講&記事作成をしていたからです!

今回は二次救命処置のライセンスであるACLSプロバイダーについて記事にしていきたいと思います!

気になるS田の主観的評価は、

  • 難易度・・・★★★★☆
  • 費用・・・・講習約40000円+テキスト約8000円
  • やりがい・・★★★★★

といった感じです。

二次救命の前に一次救命のBLSの技術が前提となるため、多くの団体ではACLSの受講にBLSの資格が必要となっています。そのためBLS資格をまだ持っていない方は先にBLSの記事を読んでみてください。

身体を張った資格取得の記事いきましょ~~~!

看護師がACLSを取得するメリット

僕がACLSの資格を取得しようと思ったきっかけは、資格を持っている知り合いの看護師さんの話を聞いて、自分もスキルアップのために取っておきたいと思ったからです。

その看護師さんはオペ室で働いていますが、僕は精神科なので現場で使う機会はほとんどありません。しかし、患者さんに万が一のことがあったときには知識を持っておいて損はないと思い、受験に動き出しました。

またこれは後で知ったことですが、看護師の転職の際にACLSの資格がプラスで評価される病院もあるそです。

難易度としては、看護師3年目の人が受けるくらいの試験でした。循環器系であれば1、2年目で取る看護師さんもいるそうですが、決して簡単に取得できる資格ではありません。

ACLSの資格概要と、取得できる団体

日本で普及しているACLSの資格で、ACLSプロバイダーという資格があります。

資格について日本ACLS協会によると、次のような内容です。

ACLSは心肺停止やその他の心血管エマージェンシーの処置を指揮する、またはこれに携わるヘルスケアプロバイダーを対象としています。
理論的な説明、およびシミュレートされたケースへの積極的な参加により、受講者は心停止、心拍再開直後、徐脈/頻拍、脳卒中、および急性冠症候群の認識・治療における技術を向上させることができるようになります。 
(日本ACLS協会ガイドより)[br-xs]

つまりACLSプロバイダーコースという研修では、BLSよりも一歩踏み込んだ救命処置を学ぶことが出来ます。

日本国内でAHAの認可を受けている団体はいくつかありますが、その中でも僕は日本ACLS協会で取得することにしました!

BLSプロバイダーを取得したのが日本ACLS協会なので、その流れでそのまま受講した形です。ちなみに、日本ACLS協会では受講対象を医療従事者や医療学生に絞っているため、一般の方は受講できません。

ここからは、日本ACLS協会主催のACLSプロバイダーコースを想定して作成する記事です。他の団体で取得を検討している場合の内容を保証するものではありません。また、僕は日本ACLS協会からお小遣いなどを受け取っているわけではありませんので、ご了承ください。

ACLSプロバイダーコースの受講の流れは下のようになります。

  1. 申し込みと必要物品の準備
  2. 予習と事前の筆記試験
  3. 2日間の研修

ここから、各段階について細かいガイドをしていきますので、受講を検討している方は是非ご覧ください!

ACLS取得申し込みと必要物品の準備

ACLSプロバイダーの資格を取るためには、研修を受ける必要があります。

(申し込みの流れはBLSと同じです。)

日本ACLS協会のホームページから研修の開催予定を確認して、希望の参加枠に空きがあれば、講座への申し込みをします。

ACLSはBLSの研修に比べて1回あたりの講座の定員も少なく、かなり先まで順番待ちをすることになる可能性が高いです。実際、僕は2ヶ月ほど先でしか予約が取れませんでした。

受講料はなんと約4万円!!!(支払い方法や会場によって若干の誤差はあるようです。)

いくらお金に余裕があっても、ちょっと気合いの入る金額ですね(笑)

そしてテキストもお値段約8000円。

看護系の参考書と比較するとなかなかの金額です。

ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2020準拠

BLSプロバイダーの際に使用したポケットマスクも使用します。

例の「マウスピース部を取り外しできるタイプ且つ一方向弁つき」のポケットマスクです。

交通費なども合わせるとコミコミで約5万円です・・・

これだけ課金したから、絶対きちんと身に着けるぞ!!!という強い覚悟で臨みましょう。

ACLSの事前準備:予習と事前の筆記試験

ACLSプロバイダーの大きな壁として、事前の筆記試験があります。

ACLSのWebサイトからアクセスして、オンラインの試験を受けます。

100点満点のテストで70点以上取ってから、その結果を受講当日の受付で提出しなければいけません。

そこでまずはテキストをじっくり読み込みます。わからないことがあれば事前にたくさん調べてまとめておきましょう。

受講後の僕目線でから特に理解しておくと良いポイントは、

  • 心停止、徐脈、頻脈、ROSC後の4つのアルゴリズム
  • 治療可能な心肺停止要因の“5つのHとT”
  • 心停止や徐脈、頻脈で投与する薬剤とその分量

は絶対おさえておいてください!!!研修当日にも絶対使います!!!

それと、筆記試験においては心電図の読み取りが出題されます。

僕は今まで勉強をさぼっていた分野だったので、改めてきちんと学習することにしました。

そしていよいよ「受講前自己評価」という名前のオンライン試験です。

何度でも挑戦できて、制限時間は60~90分という制約の少ない試験で、研修当日の筆記試験同様にテキストなどを参照してはいけないという記述もありません。

最初にトライした感想としては、「えぇ!なんで問題が英語なの!!」と本当に驚いて、一生懸命翻訳しながらなんとか受けました。結果は65点・・・

絶望しながら改めてACLSのサイトを見ると、なんと日本語で受験できるじゃないですか!!!(シンプルに僕が悪い)

そしてなんとか日本語でクリアしました!

ちなみに問題は60問で、前半20問はひたすら心電図の波形でした。

この事前学習だけでも、かなりの労力がかかるので、事前学習は1週間前から取りかかることをオススメします。

この時点で既にBLSとは比にならないくらい難易度の違いを感じました。

ACLSの2日間の研修内容

ここからは実際にS田自身が受講したときの流れや状況について実況していきます!

大まかな2日間のスケジュール

このような形になっています。

服装については、実技で胸骨圧迫をたくさんやるので、動きやすい服装と汗だくになった時に調節できる衣類がオススメです。

まず会場に着いたら、受付をします。

ここで事前学習の試験結果を提出します。

開会のあいさつでは「今のご時世はコロナとかまん防とか言いますが、人の命を救う研修を自粛しているようでは守れる命が守れなくなってしまうので、感染対策だけご協力をお願いします。」という一言。

カッコイイ!!!!!!!

座学はAHAの動画教材を使用しての受講です。

救命処置の良い例としてデモの映像を流された時、鳥肌が立ったのが印象的でした。

それほど切迫した状況でも的確にチームとして協力して命を追いかける姿が本当にかっこよかったです。鮮やかでした。

いよいよ緊張の実技研修です。

5人1組のチームで研修を受け、試験もその5人で行うことを初めて知りました。

しかし機材の使い方もろくに知らない僕は、一番後ろでタジタジになりながら見守ることに必死でした。

詳細の個人情報は控えますが、今の分野や経験的にがっつりの人3人と、ほぼ初見の人2人(うち1人が僕)という構成だったので、本当にたくさんフォローしてもらってたくさん学ばせてもらいました。

最初はぎこちなかった5人ですが、一緒にチームとして動いて、1つの目標を目指すことを通していつの間にか一体感が生まれて来ていました。

“仲間”という感じがして、学生時代の部活のような青春を感じました。

【実技試験×5!】

実技試験は徐脈や頻脈の患者さんに処置をしていると状態が悪化して蘇生の処置に移行し、蘇生してから適切な対応が出来るかを試される試験です。

そして5人1組で蘇生をするので、それぞれのメンバーが全部のポジションをやるまで計5回試験があり、それぞれにおいて患者さんの状態は違います。

採点されるのは自分が「リーダー」をやっている時の1回です。しかし、みんながお互いの採点の時も真剣に取り組んでいました。そういう意味で計5回の試験です。

そのお互いのためにもという協力体制もとても素敵でした。

実技は3つの禁忌を犯さなければ何とか突破できるそうで、僕ら5人はそろって一発合格することが出来ました。

【最後の筆記試験】

筆記試験は選択式50問のテストで制限時間は60分です。

しかも、テキストとメモの持ち込みOKです。

わからない問題があればテキスト見ながら答えられます。

つまり最強です。

とはいえ全部をテキストに頼っていては時間が足りなくなってしまいます。

実際に解いてみて、

問題は知識や根拠に基づく判断力を問いかける小問と事例を想定したシナリオの問題によって構成されていました。(事例は2つでした。)

試験の内容はどこまで触れていいのかわからないのでほどほどに書いていきます。

内容はかなり高度なものですが、2日間の研修を受けていれば合格可能な内容でした。

BLSの時にも感じましたが、日本語の翻訳の意味がわからないところが3か所ほどありました。そこは捨てる前提で取れればラッキーくらいでいきましょう(笑)

さて、S田の筆記試験の結果は・・・90点!!!

5つも間違えてしまったか~とかなり悔しい結果でしたが、85点突破なので合格でした!!

【修了証】

無事に研修を修了して、晴れてACLSプロバイダーの資格取得となります!

現在のAHAではライセンスカードは電子版で対応しているとのことで、「修了証は自分でネットからダウンロードしてプリントしてください」という対応でした。

そしてなんとなんと!
ACLSのバッジをもらいました!!!

BLSの時にはなかったですが、これはかなりテンション上がります!!

修了証とバッジはこんな感じです↓

めっちゃ良い感じです!!!

こうしてACLSプロバイダーへのかなり険しい道は攻略しました。

でも、やりきれなかったところや、もっと学んでおきたいところ等の課題も見えたので、改めて時間をかけて復習しながらみなさんの役に立てるように記事にしていきたいと思います。

まとめ

今回はACLSプロバイダーコースの受講を実況してみました。

ナメていたわけではありませんが、正直想像以上の内容でした。

その分、自分自身もかなり多くのことを学んだ時間でした。

今回のまとめは

仕事にマンネリ化していて刺激が欲しい人、自分のスキルに自信がない人、僕のように救急や循環器以外の診療科にいて他科にも興味のある人、そんな方々にオススメの研修です。

是非、人生の1つのキャリアとしてACLSプロバイダーを検討してみてはいかがでしょうか。

S田はこれからも様々な資格に挑戦していきますので、是非他の記事もご覧ください!

それではまた!

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参考文献

日本ACLS協会ガイド

(2022.01.26閲覧)

『ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2020準拠』

看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

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