こんにちは、今回はフランクル氏の参考書籍である
『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』
を読んだので、レビューしていきたいと思います。
フランクルと『夜と霧』
まず、『夜と霧』について知らない人のために、フランクルと『夜と霧』について簡単に説明します。
フランクルは、1905年生まれのオーストリアの精神科医です。
ウィーンで精神科医として働いていましたが、ナチスドイツがオーストリアを併合すると、家族とともに強制収容所に送られました。その強制収容所に送られた時の経験をもとに書かれた書籍が、『夜と霧』です。
『夜と霧』は世界中で翻訳され、映画にもなり、彼の過酷な経験や強制収容所の実態を今も伝えています。
本書の構成
この本は「NHK100分de名著」において『夜と霧』について放送した内容を書籍化したものです。
僕が手に取ったきっかけとしては、書店で『夜と霧』を探している時に目について、
「夜と霧の内容を抜粋して解説を加えた書籍かな?」
と思って手に取ったのがきっかけでした。
しかし実際に読んでみると
収容所に収容されるまでのフランクルの人生遍歴や、影響を受けた心理学者についてなどの背景がわかりやすくまとめられていました。
また、『夜と霧』以外にフランクルが執筆した書籍についても引用され、統合しつつフランクル心理学の概観を理解できる内容となっていました。
実際に『夜と霧』だけでは十分に理解しきれないフランクルのロゴセラピーに関する内容も丁寧にまとめられています。
そした、本書の執筆者(解説者)のもつ関連知識の教養や経験、寄稿者の方の解釈などが含まれており、『夜と霧』を包む世界観や背景、そしてフランクル自身の理解につながる内容となっています。
S田的な見どころ
この書籍は当時の写真がいくつか挿入されているので、実際に当時の状況をイメージしながら読み進められる構成になっています。
そんな本書を読んで、特に印象に残った点について紹介したいと思います。
それが、寄稿の中に登場するフレーズの1つです。
本文ではウェーバーを引き合いに出しつつ、苦悩を意味するドイツ語はLeidenといい、その抽象名詞であるLeidenschaftは情熱という意味であると述べています。
それを見て僕は日本語の“「辛い」という言葉に一本足すと「幸せ」になる”というフレーズを想起しました。
フランクルのいう“人間は悩み、苦悩する存在である”という“ホモ・パティエンス”という概念を考える上でとてもイメージしやすい表現なのではないかと感じました。
S田がこの本を読んで考えたこと
なかなか重みのある内容なので、自分自身の生きる意味についてなどを考えながら読み進めていました。
僕の人生そのものに意味があるかは僕にはわかりません。
ただ、こうしてナースイッチという形で知識を集約・発信すること自体も意味のある活動のひとつなのではないかと、日々の過ごし方を無駄にしないような意識が少し持てるようになりそうです。
この本を読んだからといって僕の生活リズムや活動が大きく変わることはないにしても、自分の生活に価値を見出す視点は変わっていくのではないかと思います。
そして、精神科の看護師として関わる患者さんの中にも「生きる意味」を見失っている患者さんはいます。そんな患者さん達がどうすれば自分の中での自己肯定感を保って過ごしていけるか、今後のS田の看護ケアの世界観に深みを持たせる形で少し影響を与えていくのではないかとうっすらと感じています。
あまり明確なビジョンや実感はありませんが、一つ確実なのは
僕はこの本に出会えて良かったと断言できます。
僕にとってこの本は、そんな意味を持った1冊です。
まとめ
いかがでしたでしょうか
この本はフランクルを知らない方が1冊目に手に取るのもよし、『夜と霧』でフランクルを知った方がもう一歩理解を深めるために読むのもよしの内容となっています。
この記事を読んで気になった方は是非こちらで見てみてください!
『夜と霧』の書籍についてもレビューしていくので、そちらもご覧ください!
そしてせっかくなので、精神科スイッチの記事としてフランクルの理論などについてまとめていきたいと思うので、是非そちらもご覧ください!!
それではまた!
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