精神科で初めに覚えたいお薬3選

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この春に就職してきた後輩さんに

「薬についてまず何から勉強すればいいですか?」

と聞かれました。

たしかに精神科では様々な精神病薬や抗不安薬などを使用しており、新たに就職した方には、覚えることが多いかと思います。

今回は配薬などを始めるにあたって、絶対に覚えておくべき薬剤3つを紹介していきます。

もくじ

配薬時に注意する薬剤3選

配薬について、精神科では拒薬や怠薬などがあるため注意して接する必要があります。

今回の記事では

  • 取り扱いそのものに注意が必要なコンサータ
  • 飲む際の飲みものに注意が必要なリスペリドン
  • 正しい服薬の手順が必要なシクレスト舌下錠

という3種類の薬剤について紹介していきます。

精神科デビューして間もない新人さんは、配薬に行く前にこれだけは覚えておいてください!!

1.コンサータ

コンサータは、端的に言うと覚せい剤です。

以前はリタリンという錠剤でナルコレプシー患者に対して使用されていましたが、依存性が強いため、薬物の乱用が事件として発生してきました。

そのような時代を超えて、現在ではゆっくり体内に吸収されるかたち(徐放化)のコンサータとして使用されています。

しかし、医療者側の悪用という黒歴史のあるこの薬剤は、今ではかなり厳しい管理の下で使用されています。

具体的には、コンサータ錠適正流通管理策として厚生労働省の第3者機関によってコンサータを処方する医師も登録が必要で、コンサータを使用する薬剤師も登録が必要で、内服する患者さんも登録が必要です。(文献参照)

“1つ1つの錠剤の所在が国によって管理されている”といっても過言ではありません。

言い方が悪いかもしれませんが“ガチガチに管理された合法の覚せい剤”というわけです。

しかし、配薬する看護師には登録がないのがこの仕組みの大きなポイントです。

実際に患者さんが隠さずに確実に内服していることの確認が必要となるのです。

もし紛失や破損なんてことがあれば、第3者機関の捜査が入るレベルの大事になってしまいます。

1錠の薬剤でも、本当に注意して管理し、配薬する必要があります。

2.リスペリドン内用液

食後の配薬では、食事で飲んでいたお茶を使って薬を飲もうとしたり、施設によっては実際にそのままお茶で配薬する場合もあります。

錠剤の薬では抵抗がある場合や拒薬のリスクがある患者さんに関しては、この液体の精神病薬が処方されます。

しかし、リスペリドン内用液の飲み方には注意が必要です!

(以下はリスペリドン内用液の添付文書、用法・用量より引用)

1.本剤を直接服用するか、もしくは1回の服用量を水、ジュース又は汁物に混ぜて、コップ一杯(約150mL)くらいに希釈して使用する。なお、希釈後はなるべく速やかに使用するよう指導する。
2.茶葉抽出飲料(紅茶、烏龍茶、日本茶等)及びコーラは、混合すると含量が低下することがあるので、希釈して使用することは避けるよう指導する

つまりリスペリドンはお茶やコーラで飲んでしまうと作用が低下することがあります。

さすがにお薬をコーラで飲ませる看護師はいないかと思います・・・

しかし茶葉抽出飲料がNGなので紅茶や緑茶などは気を付けてください!

ちなみにリスペリドンには錠剤もありますが、ぼくが調べた限りではリスペリドン錠は相互作用に関する記載は見つかりませんでした。

このように、薬を飲み物に混ぜて与薬する場合には“なんの飲み物に混ぜるか”にも注意が必要です。

3.シクレスト舌下錠

シクレストの舌下錠は舌下投与の薬剤なので、その与薬が正しく行われないと作用が十分に得られない可能性があります。

そもそも舌下錠の飲み方については下のような解説をご覧ください。

(以下引用)

舌下錠

舌下錠とは錠剤の1種で、口腔内で溶かして使用する薬。噛み砕いたり、嚥下してはいけない。
※舌下錠を飲み込んだ場合、即効性が失われたり効果そのものが無くなってしまう。

舌下錠は舌の下に入れて使用する。唾液によって薬が溶け、有効成分が口腔粘膜から吸収されることで効果を発揮する。
舌下錠は、服用してから体内に作用するまでの時間が非常に速いという長所を持つ。

つまり口で溶かし、飲み込んではいけない薬です。

ちなみにシクレストを実際に使用している患者さんからよく聞く感想としては

「痺れるようなピリっとした苦み」だそうです。

添付文書によると、副作用として口の感覚鈍麻(10.1%)があり、10人に1人の割合で口腔内に異常が生じています。

錠剤が口腔内で吸収されるまで、痺れるような味に耐えて過ごさなければなりません。

舌下錠の特性口腔内の痺れるような感覚異常によって、精神遅滞のある患者さんや、刺激が苦手な患者さんは上手に飲めない場合があります。

患者さんによっては看護師がしばらく見守りで付き添う場合が多いです。

この配薬については是非覚えておきましょう!

まとめ

いかがでしたか?

精神科で働き始めて、覚えることの多い環境になっても、まずはこれらの3つをしっかりと取り扱えるようになりましょう!

そして精神科での与薬は、取り扱う薬剤の内容による要因精神状態などの患者さん要因によって様々な注意が必要となるので、思わぬ事故につながる場合があります。

覚えることが多いかと思いますが、出会った薬剤をこまめに調べる癖をつけていきましょう!

それではまた!

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参考文献

資料3 コンサータの流通管理について – 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1017-5f.pdf 210421閲覧)

リスペリドン内用液0.5mg分包「ファイザー」 添付文書

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/11/1179038S2060.html 210421閲覧)

Answers 用語辞典 舌下錠

https://answers.ten-navi.com/dictionary/cat07/2931/ 210421閲覧)

シクレスト舌下錠 添付文書

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179056F1021_1_06/ 210421閲覧)

看護師S田さん

京都大学卒業後、とある病院で看護師として勤務しながら、看護師の知識向上のため、「ナースイッチ」を創設。日々臨床と研究を両立しながら看護に向き合っています。

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