数ある看護師のお仕事の代表格ともいえる注射!
採血、注射、点滴などの手技において精神科の看護師の行う内容は、ちょっと特殊な一面があります。
そもそも精神科においては他科に比べたら採血や注射や点滴をする機会はかなり少ないです。
本当に少ないです。病院にもよるかと思いますが、びっくりします(笑)
では、どんな時に注射や採血をするのか、どんな状況で実施するのかを解説していきたいと思います。
精神科での採血
精神科は心を扱うので、身体面は最低限の介入なのではないかというイメージを持たれることが多いです。しかし、精神病薬は代謝の過程で肝臓や腎臓に負担をかけてしまうため、肝機能や腎機能は定期的に観察する必要があります。
ではどんな時に採血をするのか、大きく2つの場合に分けて解説していきます。
- 入院時や、定期的な血液状態のスクリーニング
入院した時にほぼ全ての患者さんに実施する血液検査として、健康状態の把握と感染症の有無などの確認のために実施します。
摂食障害で栄養状態が偏ってしまっている患者さんの健康管理や、精神病薬の副作用でプロラクチンが高くなってしまう患者さんの情報収集のためにも、採血はとても重要な役割があります。
- 血中濃度調整薬剤の服用中
バルプロ酸ナトリウムや、炭酸リチウムなど、精神薬の中には血中で一定の範囲の濃度を保たなければいけない薬剤があります。
濃度が低ければ作用が十分に期待出来ず、濃度が高いと中毒症状の副作用がある薬剤です。
このような薬剤を使用している患者さんには、血液検査による濃度の管理が必要となります。
薬剤に関する解説は別の機会に!
このように特定の薬剤を使用する場合は、特に注意して管理が必要ですし、検査結果が中毒域の場合は“どのような中毒症状があるのか”を先回りして観察することが求められます。
このような2つの理由から、精神科において採血による血液検査はとても重要な役割を持ちます。
精神科では心だけでなく、血液のモニタリングも重要なんですね!
精神科での注射
精神科で注射ってするの?と思うかもしれません。
頻度は病棟によって異なりますが、精神科の注射では精神病薬の筋肉注射が多いです。
精神科の注射の他科との決定的な違いは、暴れている患者さんに注射しなければいけないことです。
これは本当に怖いです。
万が一、患者さんが抵抗して事故が起きたら重大な医療事故につながり兼ねないです。
このような場合は数人のスタッフで患者さんを押さえて注射をするので、チームワークとチームへの信頼がとても重要となります。
あとは余談ですが、インフルエンザの予防接種などを入院患者さんに実施する場合もあります(笑)
精神科での点滴
精神科での点滴は、主に下の二つの理由で行われます。
- 患者さんが食事摂取出来ないとき
- ODや薬物により体液循環が必要なとき
- 患者さんが食事摂取出来ないというのは、精神症状が原因で患者さんが何日も断食してしまうことで起こります。
例えば
「食べたら死ぬぞ」などという幻聴や被毒妄想がある場合
摂食障害により食事摂取自体に障害が出ている場合
うつ状態の重症化で食事摂取が出来ない場合
などです。
このような場合、血管がつぶれていたりコロコロ逃げる可能性がとても高く、ルート確保の難易度が高いです。
- ODや薬物により体液循環が必要なとき
これはin-outのバランス調整と、シンプルに「洗い流す」という意味合いが強いです。
病院の受け入れ患者の重症度にもよりますが、軽度の任意入院が多い病棟では、点滴は機会も少ないため手技の上達が難しく、対象患者の難易度も上がっている場合が多いので、全体的な難易度としてはとても高いと考えられます。
まとめ
精神科病棟では、
- 注射や点滴の必要となる患者さんの状況
- 手技向上のチャンスの少なさ
から、針を扱う手技の難易度がとても高いです。
今回は精神科の注射についてまとめてみました。
いかがでしたでしょうか?
他科での経験があれば、是非強みとして生かしてみてください!
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