COVID-19肺炎が日本で流行し始め、早くも1年以上が経ちました。
依然流行の収束は得られておらず、未知の領域の多い疾患に皆さんは不安を抱えていらっしゃることでしょう。
2019年2月頃より自部署がコロナ病棟となり、実際にコロナ患者さんを担当し最前線で看護してきた私が、コロナ病棟の実態について簡単にご紹介したいと思います。
コロナ病棟って?
当病院では、コロナ専用病棟が2フロア創設されました。
軽症患者用病棟と中等症・重症患者用病棟です。
私は中等症・重症患者用病棟に属するため、そちらの紹介をします。
コロナ病棟には、コロナ疑いのある患者、コロナ陽性が確定したが入院します。
コロナ疑いのある患者さんは2回のPCR検査を受け、陰性確認後感染隔離が解除となり、他病棟へ移動します。どんどん陽性・疑い患者が入院するため、空き病床数を確保しなければならないのです…。そのため、非常に入れ替わりが激しくなります。1日休みを挟んだだけで、ほぼ知らない患者さんたちに総入れ替えとなっていることもザラにあります。
詳しい感染対策やPCR検査については口述しますね。
コロナ病棟とするにあたり、個室管理が可能な部屋のみに病床数を制限しました。その中でも陰圧個室は限られます。
NPPV・NHFなどを使用する患者はエアロゾル発生リスクが高いため、基本的に陰圧個室を使用します。気管切開もエアロゾルが発生するため、陽性患者の気管切開を行う際も陰圧個室が好ましいです。
陰圧個室は数が少ないため、ベッドコントロールもコロナ病棟では重要となります。気管挿管・抜管、用手換気など一時的にエアロゾルが発生する可能性がある処置を行う場合は、専用に作成したビニール袋をかけ、エアロゾルの飛散予防を実施し対応しています。閉鎖式回路であれば吸引時のエアロゾル飛散はありません。
どんな人が入院する?
中等症・重症患者用病棟では、
- 酸素需要が高まり、挿管リスクが高いNHF・BPPV使用患者
- 挿管・人工呼吸器管理が必要な患者
- ECMO管理が必要な患者
等が入院されます。
重症化ってどんな状態?
厚生労働省により発行されている、新型コロナウイルス感染症診療の手引き/第4.1版では、以下のように分類されています。(p,29)
つまり、息切れや呼吸困難感などの自覚症状が出現し酸素投与が必要となった場合、重症度が上がっていると言えます。そのため、COVID-19肺炎に罹患した場合は、SpO2や呼吸状態のモニタリングを行い、呼吸不全症状の早期発見が重要です。
重症化のリスク因子は、以下が挙げられています(p,12)
- 65歳以上の高齢者
- 悪性腫瘍
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 慢性腎臓病(CKD)
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 肥満(BMI:30以上)
- 喫煙
- 固形臓器移植後の免疫不全
これらの基礎疾患がある人は重症化に注意が必要といえるでしょう。
実際に、これらの既往歴がある患者さんの重症病棟への入院率は高い印象があります。
【厚生労働省 新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第4.1版
https://www.mhlw.go.jp/content/000712473.pdf (2021/4/8閲覧)】
必要な感染対策は?
標準予防策・接触飛沫予防策、空気予防策が必要となります。
当院では、N95マスク・ガウン・フェイスシールド・キャップ・2重手袋を着用しています。
患者に使用した物品は全て感染性廃棄物となります。陽性・疑い例のゴミ箱にはマーキング、他の感染性廃棄物と異なることが分かるように工夫しています。
寝具類はアクアフィルムを使用し感染性選択物として提出します。
機器類はアルコールで2度拭きし再使用しています。
面会って出来るの?
陽性・疑い例は、面会は不可能です。
例外として、医師の許可がある場合、終末期である場合などは、タブレット面会もしくは完全に防護策を着た状態での面会が可能となることがありますが、感染リスクを考慮し検討が必要です。そのため、残念ですが、基本的に面会は出来ないと思った方が良いです。
亡くなったら?
遺体は次亜塩素酸ナトリウムで清拭し、インナーバッグにいれます。
インナーバッグの表面も次亜塩素酸ナトリウムで拭き消毒します。
濃厚接触者の方は、死亡確認時・霊安室への移動時のいずれにおいても面会することは出来ません。濃厚接触でない家族のみ、死亡確認時部屋外で付き添い、霊安室までの同行が可能となります。しかし遺体はインナーバッグ内であり、手に触れることなどは出来ず、顔を見ることが出来るのみです。
当院ではこのような対応をしています。亡くなる瞬間、亡くなってもなお面会出来ないのは本当に悲しいですよね…。なるべく家族の方が患者さんと最期のお別れを出来るよう、医師とともにコミュニケーションを図り家族の意向を確認し、可能な場合はタブレット面会を実施し、家族ケアをしています。
まとめ
いかがでしたか?簡単にではありますが、ご紹介させて頂きました。
なんとなくコロナ病棟がどんな病棟か想像出来たでしょうか?
コロナ専用病棟の病床数は限られており、今後は専用病棟だけでは対応困難となり一般 病棟に入院する例も増加すると思います。コロナ病棟へ配属される看護師さんに限らず、一般病棟の看護師さんにとっても、コロナ患者への対応は知っていて損のない知識 です。当院の一例に過ぎませんが、今後の看護・対応にぜひ役立ててください。
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